第103話 ヤコフ
「避難命令が聞こえなかったのか?
って、そういえばギルド長室に呼ばれてたか。
あそこは魔法が通りづらくなってるから仕方ないか」
おじさんたちが屋根から飛び降りて俺と魔族の間に立つ。
◆ヤコフ ♂
種族 :人間
ジョブ:弓聖
レベル:55
HP :550/550
MP :0/0
攻撃力:550
防御力:550
敏捷性:10780
運命力:215
アビリティ:弓聖-煌-・弓聖-轟-・弓聖-癒-・弓聖-焱-
◆モード ♀
種族 :犬人
ジョブ:魔法師
レベル:32
HP :320/320
MP :4807/4807
攻撃力:320
防御力:7127
敏捷性:320
運命力:175
アビリティ:泥遊び
スキル:中級火魔法・上級水魔法・中級風魔法・上級土魔法・初級雷魔法・防御力上昇
異界の眼でおじさんのステータスを見たことはなかった。
弓聖とは、またすげえジョブを持ってるな。
隣の犬耳お姉さんは俺と同じ魔法師か。
「まあいい、はやくクラビーちゃん追っかけて逃げろ」
「いや、そういうわけには」
「それでは困りますのよ?」
俺の反論を遮る声。
それは、弓を打たれて真っ二つになったはずのラベイカのものだった。
見れば、映像の巻き戻しの様に、ラベイカの身体が起き上がり、裂けた部分がくっついていく。
そして、服までもが再生して元の形に戻った。
「ワタクシたちはそこのぼっちなお兄さんに用がありますの」
「脇役は黙っていてくださらない?」
黒と白が笑うが、瞳には敵意と冷酷さを滲ませている。
一方でラベイカ再生を見たお姉さんとおじさんの顔も険しくなっていた。
「再生……?」
「モードが最悪一人拘束できれば、って言うから攻撃しちまったが……それじゃ済まなされそうだな」
「え、私のせいですか!?」
「いや、再生することが早めにわかってよかったんじゃねえか?」
状況は三対二でこちらが有利に思える。
しかし相手の能力も未知数に加え、謎の再生能力。
ラベイカのアビリティは一つだけだ。それは周りの住民を破裂させたあれじゃないのか?
情報と状況が繋がらない。
この世界は、まだ俺の知らない要素が隠されているのか?
「ぼっちよぉ」
「ん?」
突然おじさんが声をかけてくる。
その視線は双子魔族に向けられたままだ。正確には双子魔族の足元だろうか。目を見たら「赤い華」が発動するかもしれないことは全員承知している。
「お前、あの子たちに何をしたんだ?」
「は?」
何を言い出すんだこの人。
「だってよ、あんな幼気な女の子がこんなテロ行為……目的はお前だっていうじゃないか。
お前が昔、あの子たちに悪いことしたんじゃないのか? それで復讐されにきたんじゃないのか?」
「何を言っているんだあんたは」
このおじさんには、あの子たちが普通の女の子に見えているのだろうか。
いや、そうじゃないな。
「おじさん、あの子たちが魔族だって言ったら、信じるか?」
「魔族ぅ?」
「魔族ってあれですよね。はるか昔はいたと言われている架空の生物。
東にある焔の森の最奥部に潜んでいると語られているやつですよね」
犬耳のお姉さんが詳しかった。
やはり、魔族そのものが実在を認められていない場所で、あの双子が魔族だっていうのは通じないか。
「じゃあ、さっきの能力と言い再生と言い、あれだけあればモンスターってことくらいわかるだろ?」
「人の言葉を喋るモンスターなあ……何十年と騎士団や冒険者やってたが、そんなの見たことねえな」
「新種……という可能性もありますね。
ヤコフさん、やはり確実に拘束しましょう! 私、是非解剖したいです!」
お姉さんが目を輝かせた。
「面白そうだから聞いていましたけど」
「魔物と同じ扱いは心外ですわねえ」
そこへラベイカとクラヴィアが口を挟む。
「お兄さんの言う通り」
「ワタクシたちは魔族でしてよ」
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