第7話 亜人
◆アッヒム ♂
種族 :人間
ジョブ:奴隷
レベル:26
HP :260/260
MP :0/0
攻撃力:390
防御力:260
敏捷性:260
運命力:26
まさにこの世界標準って感じ
と思ったが、やけに攻撃力が高い。MPがない分、他のステータスが伸びると聞いたことがあるから、そのおかげだろう。
ジョブが奴隷でなければジョブ補正もついたのだろうが……。
補正がない分レベルがものを言うのだが、攻撃力が高いから問題ないだろう。
冒険者として落ち着いてきたころに仲間と喧嘩になったか、そんなところではないだろうか。
「それではオークションへと移らせていただきます。銀貨1200枚から」
え。
1200から?
ステータスオープン。
◆ツムギ ♂
所持金:26,712
銀貨 :267枚
銅貨 :12枚
1か月生活するのに銀貨240枚くらい。
冒険者の月収が銀貨600枚くらい。
これ庶民向けのオークションだよね??
「銀1200」
「銀1300」
他の客が次々と手を上げていく。
まさかの百枚単位。奴隷商館で聞いたとき、2000あれば足りるって言ってたけど、あれ金額じゃなくて銀貨の枚数か。金種も言っといてくれよちくしょう。
って、普通の暮らしでは銀貨までしか使わないもんな。
それはともかく、やっぱ命って高いんだな。
「他にいませんか? それでは、銀貨2000枚で落札となります」
項垂れているうちに、男が落札された。落札者はそのまま隣の部屋へと移る。
銀貨1000枚で金貨1枚分だったはず。金貨2枚分の奴隷となったわけだ。
こりゃ今日は何も買えないかもな。
「続きまして、え?」
司会者が進めようとしたところに、男が一人近寄り何やら耳打ちをしている。
「あー、そうか。うん、まあ一応やろう」
司会者が何やら嫌そうに片眉を上げるが、一度息を吐くと営業スマイルを復活させた。
「申し訳ございません。遅れていた北の奴隷商館が到着したようで、先にそちらの奴隷を出品いたします」
俺の後ろにある入り口が開かれる。振り返ると、商人らしき男。
その隣に、桃色の髪をした少女がいた。
10歳くらいだろうか。幼い顔立ちだと思う。
薄ピンク色の唇に小ぶりな鼻。その上には――包帯。
その顔には目を隠すように包帯が巻かれていた。
目が見えない、というよりは見せないために巻いたかのようで丁寧に目を覆い隠している。
まるで、恐ろしいものを封印しておくかのよう。
子供にさせるようなものではない異様な姿に、思わず息をのんだ。
少女は男と一緒に俺の横を通り過ぎていく。その時、何かが俺の腕を掠めた。
長い髪かと思いきや、髪の毛は肩甲骨までしかなく、触れたのはその下で揺らめいてるもの。
尾っぽだ。先端が白っぽくなった桃色の尾っぽである。
よく見れば、少女の頭の上には二等辺三角形とも呼べそうな耳が二つあった。
人間に似た、人間ならざる者。
亜人か。
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