デジタル

完全に衝撃だった。

EOS Kiss Digitalが我が家にやってきたのだ。


親父が、誇らしそうに持っていた。

大容量のCFカード。これが新しい「フィルム」だ


オートフォーカスは、EOS5QDで慣れていたし、

レンズも使えるということで、すんなり馴染んだ。


フォーカスシステムもまあ、それなりに使えたし、

撮ってすぐに液晶画面で確認する便利性を認識した。



パソコンに接続して、画像を見て、ビックリした。

なんともまあ、ひどい写真なのだ。


簡単に言うなら、色あせた、何も面白みもない、

写メ(当時既にカメラ付きケータイは普及していた)みたい。

だと思った。


とりあえず、200枚くらいは撮れるとのことだったので、

持ち出して、撮ってきた。


どれもこれもまあ、眠い、シャープでもなんでもない、寂しい写真だった。

これを売り出したキヤノンは・・・

とか思っていた。


親父に返した、フィルムのほうがよく映るしって言った。


確かにこの時代のデジタル一眼レフカメラは、ダイナミックレンジも猫の額で

色再現も最悪な、地獄みたいなカメラだった。

それでも革新的だった。


なすは

気に食わなかった、


色が、

色に溢れた、自分のキャンバスが、


シケた絵の具みたいな、そんな寂しい色で

染まっていくと思って、


無性に悲しくなった。


フィルムさんは、CFカードサンになった、


色で溢れた世界は、

安くさい、コピー機から排出されるような、

寂しいコピーの絵画になった。

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