なすとカメラ。

なす

カメラと、なす

なすがカメラを初めて触ったのは、

親父の持っているキヤノンオートボーイが一番初めだった。


あのファミコンを思い起こさせる躯体は、

今思い出しても、オモチャな感じだ。


小さいファインダー(とは言えないが)を覗いて、

ジージー言って、パシャッと撮れる。


たったそれだけ、フィルム走行は自動、巻き上げも確か、

自動だったと思う。


赤い小さな、プラスチックのカメラ。


親父が、ゲンゾー(その時は意味が分からなかった)した写真を

持ってきてくれた。


猫と、花と、草、ブレブレのテーブル。


今思えば光沢L版だったとは思うけど、表面がつるつるしてて、

独特のニオイがした。


うれしかった。


カシャっとした何かが


小さな絵になった。


次に持ったのは、親父のニコンEMだった。


これはすごいぞーって言われた。

重かった、オートボーイにはなかった、ヒンヤリした感じがあって、

ズッシリ重い、


のぞきあな?がおおきい!


といったのを覚えている。


ファインダーを覗くと、ボヤボヤの世界が広がってて、

使い方を教えてもらった。

レンズは 50mm F1.8なんてことない標準レンズ。


ここを回して、こうするんだぞって、親父が回してくれた。

そうすると、ボヤボヤした世界は、クッキリと

ボヤボヤが介在する不思議な世界になった。


レバーを手前に引いて、シャッターを切る。

カシャアッっと大きな音がして、


ボヤボヤとクッキリの世界は、真っ暗になる、


すぐに真っ暗はなくなって、ボヤボヤとクッキリの世界が戻ってきた。






「これが、一眼レフなんだぞ!」





と、親父が

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