勇者は心を病みました。

瀬久島のゐ

プロローグ

この世界はかつて、悪い魔王に支配されてました。


魔王は平和な世界に、魔物を放ち人々を困らせ、誰もが夢も希望も持てないとても寂しい世界にしてしまいました。


そんなある日、正義の心を持った少女が立ち上がりました。

少女は、困ってる人々を救いながら各地を冒険しました。


そんな少女はいつしか勇者とたたえられ、世界の人々の希望となりました。


勇者となった少女は旅の途中でであった仲間たちとともに魔王を打ち滅ぼし、こうして世界は平和になりました。


 一冊の本に記された内容はざっとこんなもんだった。この物語の当事者のあたしとしては、内容がいろいろ美化されていて、なんだかなぁという気持ちになったが大体あっているので、これはこれでいいのかなとも思ってしまった。まぁ、知らないほうが幸せということもあるよね、なんて思いつつ、本を閉じその場を後にする。


 物語は世界に平和が訪れて終わるのだが、この英雄譚には続きがある。それはきっと、あたしと数えるほどの人しか知らない真実で、知らないほうがいいことであり、知ったところで複雑な気分になるだけなそんなエピローグがある。付け加えるならこうかな


 世界に平和を取り戻した勇者は、今日も小さな部屋の片隅で虚空を見据えこうつぶやいているでしょう。「どうして私は生きてるの?どうしてこんなに苦しいの?」と


どうしてかって?答えは簡単。


無邪気な笑顔が魅力的な、赤髪のかわいい勇者様は、いろいろあって、心を病んでしまったのです。


ホント、どうしてこうなったのかな




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勇者は心を病みました。 瀬久島のゐ @mahouotoko

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