28.三日月の王の末裔

 よけられない! と思ったシャーは観念した。反射的に直撃を交わそうと身をよじる程度の時間しかない。エルナトに斜めに背中を見せていた彼は、やってくる衝撃を予想した。

 が、一向に衝撃はこなかった。

 不審に思って振り返ると、目の前に大きな黒い体が見えていた。

 その体の主は、左腕を伸ばしていた。その左腕がシャーの背に触れる直前で止まっている。その腕の中心付近に矢が突き立っていた。

「へ、蛇王さん!?」

 シャーは、思わず叫んだ。

 ザハークがいつの間に、彼のそばまで来ていたのかわからなかった。おそらく、クロウマを一瞬で振り切って駆け寄ってきたのだろう。

 ザハークの左腕からは、静かに血が滴り始めていたが、彼はこちらを見なかった。

(ま、まさか、オレをかばったのか?)

 シャーは、大きな目をさらに見開いたまま、彼の左腕を見ていた。その表情に彼は戸惑いを隠さなかった。

(何故?)

 ザハークは、間違いなくサギッタリウスなのだ。自分の命を狙っていた男で、今は協力してくれているとはいえ、本来挑戦状をつきつけてきた敵だ。身を挺してシャーをかばう理由などないのである。

 ザハークは、シャーの方を見なかった。こういうときの彼は、平時と違って突然、寡黙な印象になり、その表情も反応も冷たくすら思え、その代わりに独特の凄味が走るのだった。

 彼は、表情を一切変えず、興味もないようなそぶりで、左の腕に刺さった矢を躊躇せずに引き抜く。血が溢れてぽたぽたと石畳にこぼれたが、彼はまったく無表情で、眉ひとつ動かさず、痛みすら感じていないようだった。

 彼はエルナトに静かに視線を向けた。二本目の矢を番えようとしていたエルナトは、びくりとした。それほど、その時のザハークの視線は鋭かったのだ。

「俺の忠告が聞けなかったようだな、貴様」

 ザハークは静かに重く告げた。

「くそっ!」

 エルナトは、気圧されたのか、二の矢を番えるのをやめた。そして、不利を悟ったのか、慌てて振り返って駆け出していった。

 ザハークは、それを追う様子はなく、引き抜いた矢に目を走らせる。何かを確認したのか。そして、その後、興味もなさそうに矢を打ち捨てたのだった。 石畳を鏃が打つ音がやけに響いて聞こえ、場を支配していたザハークの独特の殺気が破られ、それがシャーを含めその場にいた者たちを我に返らせた。

「くっ!」

 いち早く動いたのは、シャーを牽制していた覆面の男だった。ザハークに気を取られていたシャーは、その分動きが遅れたのだ。

 彼はシャーを攻撃するのをあきらめ、ラティーナのほうを向き、彼らが気づく前に彼女のそばに駆け寄った。

 人質にするつもりだ、と気づいて、縄をほどかれていたラティーナは逃げようとしたものの、薬の影響が残っているのか、足元がおぼつかず、転んでしまった。その彼女に男の手がかかる。

「てめえッ!」

 シャーが、走りよろうとしたが、男の方が速い。彼女を乱暴に掴み上げ、その首筋にすばやく刀を突きつけた。

「動くな、この女を……」

 と、いいかけたところで、その男の背後に影が忍び寄るのをシャーは見た。

 がっ、と鈍い音が響いたのは、男がラティーナに手を下したからではなく、男の頭を何者かが殴りつけたからだった。背後にいた男は、倒れ伏した男から、華麗にラティーナを奪い、そのまま抱えあげていた。

「やれやれ、まったく」

 その声には抑揚がなく、ある種の気だるさを感じさせる。聞いたことのある声だ。

「若様、脇が甘いですな」

 男がにやりとした気配がした。

「ルシュール隊長……?」

 シャーは、思わぬ男の出現に、ややあっけに取られていた。先ほど持ち手の部分で男を殴りつけたその刀を、くるくるっと 回し鞘におさめると、男はにんまりと笑った。

 いつの間にか、クロウマの姿は消えていた。エルナトの後を追ったのか、気配も感じられない。

 一旦、この場の戦闘が止んだことを確認し、シャーは、ザハークの方に駆け寄った。ザハークは、血の滴る左腕に頭巾から少し布を取ったのか、黒い布を巻いているところだった。特段痛そうな顔もしておらず、何事もなかったかのようだった。

「蛇王さん、大丈夫かい?」

 しかし、シャーは、心配を隠さない。エルナトは、毒矢を使うということを、彼は知っていた。ザハークは、にっと笑って返事をする。

「ああ、心配するな」

「で、でも、アイツ、毒矢も使うって話じゃないか」

「ヤツも慌てたらしく、鏃に毒が塗られていなかった。それは確認している。それに、骨に刺さっていないから、ま、唾でも塗っとけば治るだろ」

 そういって、ザハークはからからっと笑ったが、シャーは、珍しく悄然としていた。

「すまねえ。オレが周りを見ていなかったから」

 シャーは、反射的にそう詫びた。

「気にするな、三白眼小僧」

 彼の返事は明るい。ザハークは、いつもの陽気で無邪気な彼の顔になっていた。

「例え、本当に毒が塗られていたとして、どちらも戻ってこない腕と命となら、お前はどちらが大切なものだと思うのだ? 当然、命の方が重要だろう?」

「そうだけど……」

「お前と俺は友人だぞ。少なくとも俺はそう思っている。関係のない屑なら助けないかもしれないが、大切な友人の命が救えたのなら、左腕の一本ぐらい安いものだ。違うのか?」

 ザハークは、さも当然のことのようにそういった。

「蛇王さん……」

 シャーは、呆然と彼の顔を見上げた。

(オレは、蛇王さんのことを、どこかで疑っていたのに、蛇王さんはオレを守ってくれたんだ)

 エルナトを人数に入れ忘れるなど、普段なら、そんな些細なミスはしないはずだった。今回は、どうも自分は、常にサギッタリウスのことに気を取られすぎ、踊らされている気がする。それだけ、彼にとって、その男は強敵であるはずの男だったからだ。

 だからこそ、彼が協力してくれたにもかかわらず、自分は、どこかで彼を信じ切れていなかった。どこかで、もしかしたら裏切られるのではないかと思っていた。それなのに、彼は自分をかばってくれて、友だと言ってくれたのだ。

 シャーは、目頭が熱くなった。昔から意地っ張りな彼は、人前で涙することを許容できない男だったが、そんな彼でも涙が滲みそうになるのを禁じえなかった。

「ごめんよ、蛇王さん。オレ……」 

「ははは、そんな顔するなというに!」

 ザハークは、右手でシャーの頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。

「後日、上手いメシでもおごってくれれば、それでいいんだぞ?」

 にっと、ザハークは、明るい笑みを浮かべてていったが、ふと、眉根を寄せて周囲を見やる。

「それにしても、クロウマのやつ、どこに行ったのか?」

「ああ、いつの間にかいなくなっちまってさ。……ん?」

 と、言いかけて、シャーは、ふと、先ほどルシュールが倒した男の方を見た。どうも様子がおかしい。口から血を流したまま、男はぴくりとも動かなかった。

「しまった!」

 シャーは、慌てて男に駆け寄るが、既に事切れているようだった。

「自殺しているようですね」

 といったのは、ラティーナを抱えたままのルシュールである。

「こういった手合いは、捕まって情報を吐くことを恐れますし。あの女の狗、そのあたりは徹底しているでしょう。残念ながら、話をきくのは絶望的でしょうな?」

「ふん、どうせあの女狐相手だろ。こんな奴らに拷問して吐かせたところで、あの女に対して決定的な証拠になりゃあしねえ。下手に引っかきまわせば、また内乱の原因になる。泥沼になるのが目に見えてるし、口を割らせるつもりはねえよ」

 シャーは腕組みをしつつ、不機嫌に吐き捨てる。

「ただ、こういう死に方されるのが気にくわねえんだ」

「ま、若様にそのつもりがなくても、敗北した時は自決するように、物心ついたときから教育されているやつらですからね。気になさることはありませんよ」

 ルシュールはそう冷静に返した。

「……しかし、ルシュール隊長、あんたさ……」

 そうシャーが言いかけたとき、不意に神殿の奥の方で細く悲鳴が上がった。シャーは、はっと顔を上げる。

「俺が見てくる」

 ザハークが、そう言った。

「お前達は、娘を抱えているのだ。そのまま、外にでて帰れ!」

「蛇王さん!」

 ザハークがそういって、駆け出していくのをみて、シャーは、一瞬、オレも、といいかけたが、まだぼんやりしたラティーナをルシュールが抱えているのを見てとどまった。ルシュールが守ってくれているとはいえ、もしかしたら応援部隊が来るかもしれないこの状況で、彼女をおいていくのは気がひけた。ザハークの言うとおりにするほうがよさそうだ。

 ザハークは、ちらりと振り返る。

「俺は大丈夫だから、先に帰っているのだ。いいな!」

「あ、ああ、気をつけて!」

 シャーはそうこえたえ、ザハークの姿が暗がりに消えていくのを見ながら、ルシュールに外にでるように促した。

 彼らが外に出て行くのを、視界の端で確認したあと、ザハークは神殿の奥へと進んでいった。

 神殿の奥のほうに、尖塔に通じる道がある。ザハークは、慎重に気配を探りながら、足を進めた。悲鳴が聞こえたのはこのあたりだ。

 と、かすかにうめく声が聞こえた。

 ザハークは、しゃがみこんだ。そこにはエルナトが倒れていた。首を刺されているのか、足元にはおびただしい血が流れている。既に顔には死相があらわれており、到底助かりそうもなかった。

 ザハークに気づいたのか、エルナトは、彼のほうを見上げる。

「あ、あんたの言うとおりだったな、サギッタリウス」

 エルナトは、苦しげな息の下、皮肉っぽくわらった。

「早いこと、あんたの言うことをきいておけばよかったぜ」

 彼はそういいのこすと、すぐにあっさりと動かなくなった。ザハークは、それを見届けると立ち上がる。

「利用するだけ利用して消す、か。まったく、気に入らん連中だ。……貴様の仇はいつかとってやるぞ」

 ぼそりとつぶやき、ザハークは立ち上がった。



 シャーたちは、ひとまず、外に出ていた。

 空には三日月が輝いており、既に、第二神殿には篝火が照らされていた。あまり目立つのも困るので、影の方に回っていたが、先ほどの騒動については、まだ誰も気づいていないのか、あたりは静かだった。

 ルシュールは、ラティーナを地面に下ろしていたが、まだ、足元がおぼつかないらしく、シャーが軽く肩を支えてやった。

「ラティーナちゃん、怪我ない?」

「え、ええ、シャー、ごめんなさい。ありがとう」

 まだ頭がぼんやりすることもあってか、ラティーナも少し弱気だ。シャーは、笑って答えた。

「いいって。オレがぼさっとしてたのが、そもそもの原因だからさあ」

 シャーは、そして、改めてルシュール隊長の方を見上げた。彼とはかれこれ幼少期から十年を越える長い付き合いであるが、相変らず、得たいの知れない男だ。

「あんた、いつの間に? 助けてくれたのには、礼をいうけどさ。オレ達を尾行してきてたんだな?」

「ふふふ、私の尾行の腕前を舐めてもらっては困ります。どこぞの三流暗殺集団など足元にも及びませんよ。厳密には、酒場までは若様を、それ以後は、私は若さまではなく、連中をつけてここに来ていたのですよ。姫様に危害が加わるようなら、もう少し前に突撃していたところでしたがね」

 ルシュールは、薄ら笑いを浮かべていた。 あの女狐の配下の集団を三流と切って捨てるあたり、常々思っていたが、この男もどうも堅気ではなさそうだ。カッファは、一体どこから彼を拾い上げてきたのだろう。

「あの男はクロウマという通称でしてね。女狐が抱えているとされる組織の中では、それなりに名前が知られている男です。しかし、ヤツ自身は、本来は総務係でしてね、実働部隊としての腕はさほどではないのです。この件は、例の事件の残務処理のようなものですから、ヤツが担当したのでしょう。ま、相手が本気でなくてよかったといったところ」

「へえ、詳しいね、隊長」

「まあ、情報をいただいていましたからね、私は」

「情報?」

 シャーは、そこに反応して聞き返した。

「”陛下”から、お聞きしておりました」

「何だって!?」

 シャーは、素っ頓狂な声を上げた。陛下、ということは、要するに、表向き王として執務しているシャーの義兄であるレビ=ダミアスのことだ。

「姫様、続いて、旦那様が襲われたという話を聞きつけられた陛下は、あの夜、ひっそりと私をお呼びつけになられまして、じきじきに、ここ数日、若様には注意するようにとお言葉をいただいておりました。特に旦那様が襲われたとなると、若様は何かと暴走しがちになりますからね。しかし、不肖私めも少しは役に立ったようで……」

「レビ様が?」

 ラティーナが、驚いた様子で聞き返す。

「はい、姫様のことも心配されておりましたよ。自分が出て行こうと思ったものの、それをやると方々に怒られそうなのでやめた、とおっしゃられておりました。それで、私めを……。しかし、今夜の話が伝わっていなくて良かった。あの方なら、本当にお忍びで出てきかねませんからね。私が言うのもなんですが、つかみ所のない部分が……」

「当たり前だ。兄上は、そういうとこ、空気読まない男だからな」

 シャーは、少し憮然としていた。

(兄上め、無茶しそうだから、この手の情報は入れないようにしてるはずなのに。特に、カッファのこととか、どっから聞きつけたんだ)

 まったく何も見ていないようで、唐突に、何かに感づいていたりすることのある。彼自身は、驚くほど無防備なこともあるくせに、時折、こういうことに鼻がきくらしく、妙なところで手引きをしてくるのだ。

(なんか、兄上にしてやられてる感じで気にいらねえな)

 ありがたい気持ちがないわけではないのだが、シャーは、少し複雑な気持ちになってしまう。それを見抜いたものか、ルシュールが釘を刺すようにつけくわえた。

「しかし、若様も危なっかしい。兄上様がご心配されて当然でございますよ? あの御仁が若様をかばってくれていたからよかったものの。私めが割ってはいる所存でしたが、間に合ったかどうかしれません」

「ん、まあ、それは……、その」

 シャーは、少し歯切れが悪く、口ごもる。と、不意に彼は、はっと顔を上げた。

「そういや、蛇王さん、戻ってこないな」

「おや、若様覚えていらっしゃらないのですか? 彼は、先に帰っていろといっていたでしょう?」

「い、いや、確かにそうきいたけどさ。きっとすぐに戻ってくると思ったから、ここでオレは待ってるつもりで……」

 といいかけて、シャーは、つぶやいた。

「先に、帰れ? ……戻ってろじゃなくて、帰れっていったのか、あのひと、それって……」

 シャーは、突然無言におちた。

 既に日が落ちていて、空には満天の星が輝き始めていた。そして、かすかな星の光をかき消すように明るい三日月が、まだ沈まずに西の空に上っている。

 シャーは、しばらく空を見上げていたが、やがてルシュールに向き直った。

「隊長さ」

「はい」

「ラティーナちゃんを、お屋敷まで送っていってくれないか?」

 そういって、シャーは、ラティーナをルシュールに託す。

「ええ、かまいませんが……」

「シャー、どこにいくの?」

 ラティーナが、何か察したのか、不安げな顔になった。

「いや、大丈夫だよ。どこにいくわけでもないんだ。ただ、ちょっと……」

 シャーは、少しまじめな顔つきになっていた。

「約束があるんだ」

 シャーは、視線を彼女から外し、第二神殿の篝火を防いで陰になっている場所に移した。尖塔の美しい、月の神の神殿だった。

 


 *

 

 その神殿は、夜になると、ひどく無機質に思えた。

 誰も訪れることなく、朽ち果てていく砕けた石畳。転がる石。かつてはその場をもり立てていたであろう壁掛けは原型もとどめておらず、ただ、その彫刻にだけ神聖な気配を留めている。破れた天井からは、星空がドーム屋根の代わりのように覗き、きらきらと星が瞬いていた。 

 そして、尖塔の頂上に、ちょうど装飾品のようにさしかかった、沈み行く弓のような曲線を帯びた欠けた月が輝き、近くに金色に明るく輝く美しい星が寄り添っていた。それは、あたかも、この神殿の配置にも似ていた。ちょうど、その星を守護する隣の第二神殿から入る篝火の光が、荒れ果てた神殿を静かに照らしている。彼は、相手に姿を見られるのを躊躇せずにその光の中に入った。

 この神殿の主であったはずの神は、女の神か男の神かもわからない。この土地には、月の男神も女神もいる。ただ、どこかしら優美な気配が残っているのは、きっとこの神殿にいたのが女神だったからなのかもしれない。けれど、今のこの神殿は、まるで、別の星に来たような、荒涼としていて無機質な空間だ。女神のいるはずの黄金の月も、こんな灰色の寒々しい世界をしているのだろうか。

 その空間の中に、静かな威圧感と殺気が、ひしひしと肌に感じられていた。彼は、『彼』がいることを確信していた。そして、それは、やがて彼の目の前にあらわれた。

 『彼』は、そこでずっと待っていた。背を向けて、祭壇の間に胡坐をかいて、身じろぎもせず、尖塔の上にかかる月を眺めていた。

「いい月だ」

 と、声が聞こえた。

「先ほど、月に焦がれた王の話をしただろう。あれはな、俺の先祖の話だ。リオルダーナの旧いふるい王朝の初代国王のな。しかし、せっかく神の恩寵を受けたにも関わらず、やがて驕り、神への信仰を忘れ、野心を抱き、一時の享楽を貪った結果、民の信頼を失い、気づけば玉座を追い落とされた。そして、長い年月の間に、復権しようとするたびに粛清が行われ、家は潰され、いまや、一族で残ったのは俺一人だ」

 男の声は、背を向けているにもかかわらず、冷たくなり始めた空気によく響く。

「この神殿の有様を見れば、それも如何ともしがたいことだ。野心など抱かずに、ただ、純粋な気持ちで、綺麗な月を愛でていればよかっただけなのにな」

 そして、ようやく振り返った。 

「お前も、そうは思わないか?」

 闇夜のような黒い衣服をまとった男は、夜空のわずかな光を浴びて、背後に尖塔を背負って立ち上がる。尖塔の上には、三日月が輝き、そばには宵の明星が色を添える。男の鋭い眼光が、闇の中で光って見えるような気がした。

 男はゆらりと一歩足を進め、篝火の光の中に姿を見せた。

 どこかしら神秘的な気配をたたえる大きな目、通った高い鼻筋、少し皮肉っぽく笑った口元に立派な髭。そこに立っているのは、東方の絵巻物の英雄が飛び出てきたような、気品と豪放さを同時に兼ね備えた美丈夫であったが、その姿は彼の良く知る人物のものでもあった。

「蛇王さん」

 シャーは、振り返った男の顔を確認して、かみ締めるように言った。

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