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そう、耳元に。
囁くような、声が聞こえるの。
近くには誰もいないのに。
いいえ、近くに人がいても、彼らには聞こえない。
ただ、私にだけ聞こえる声で。
耳元で。
わたくしが愚か者だ、と。
いいえ、いいえ。
そんな内容ではなかったかしら。
もっと直接的なことだったわ。
わたくしを疑っている。
いいえ、もっと確信に満ちた言葉で。
わたくしを許すことができない、と。
だから、わたくしは倒れて、震えて、どうして、こんなことになってしまったのかしら。
わたくしは信じていない。
少なくとも、図書棟に現れる幽霊の存在なんて、信じていない。
信じていないというよりも、それは事実。
そう、わたくしが思っていたから、罰だとでも言うのでしょうか。
幽霊は、存在する、とでも言うのでしょうか。
いいえ、いいえ。
そんなはずはない。
何か、仕掛けがあるはずなのです。
でも、今でも耳元に囁く声が聞こえてきそうで。
わたくしは、どうしたらよろしいのでしょう……
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