呼び声は「後ろ後ろ」と火星まで。

 

 ちょいと、いやかなり? 割合前の話題になる。

 

 火星に突っ込んだ探査船からてけてけと赤い大地に発進した火星探査機オポチュニティを覚えておいでだろうか。


 当時話題になった事がある。


>現在、火星では2台の探査機が調査活動を行っているが、そのうちの1台「オポチュニティ」に、何者かが清掃をしているとしか思えない怪現象が起きているという。


探査機は活動を続けていると、ソーラーパネルにホコリがたまってゆき、出力が減少するが、なぜかオポチュニティは、夜、活動を休止している間に何か、もしくは何者かによって定期的にパネルに積もったホコリの層が除去されているという。


 との事。


 この前に、一度オポチュニティがロストし、転落したのではと騒がれた1日後に、何事もなく復帰したというニュースがあった。



 それが偶然ではなく何者かの仕業と仮定しよう。

 火星人だ。

 タコ型でいい。


 彼は一体何をしているのだろう。


 カメラには映らないところを見ると、夜行性なのか、或いはカメラ(視線)というものを理解してきっと常にカメラの死角をキープしているに違いない。

 てけてけと走るオポチュニティの後ろを、見つからないように、てくてくと歩いて観察しているのだ。もしかすると火星人が列を成して見ているかもしれないぞ?

 もしかしたら火星カメラマンとかがやってきてその後ろから撮影して中継しているかもしれないな。

 で、オポチュニティが転んだ時には。

「あっ」

「コケたコケた」とかいって火星お茶の間で大爆笑を呼んでいるに違いない。


 で、火星界ではオポチュニティのたどたどしい足取りで一人で頑張るけなげな姿が大人気。

 「オポちゃん」等と呼ばれ火星ファンクラブが発足されたり、便乗オポちゃん火星まんじゅうやら火星ステッカーやらが発売され、挙げ句は「オポちゃんを火星区民に」などと発展。

 そのうちオポチュニティが埃をかぶって動きがだんだん悪くなると、「オポちゃんを守る会」が深夜にこっそり捕まえて埃とかはらってやったりしたのだろう。

 これには火星メディアも激震。

「野生の火星探査船に火星人の手を貸すとは。我々はそっと見守るべきだ」「もしかしたらオポちゃんは巣作りの準備をしているのかもしれない」

「オポちゃんがかわいそう! ここは火星保護をしてやるべき」

 等と二つに分かれたに違いない。

 

 地球と火星でそれぞれのメディアが見守ったオポちゃん。


 今なにしているのかしら。 

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