異世界暮らしていけますか?
じゃーまん
第1話 接触
家で中間テストの勉強してたら、門が生えてきた。
こんな感想しか浮かばない、この場合どうするべきなのか、17年生きてきた中で答えを出すのは無理だろう。
二階で勉強してたのでこの門は一階から貫通してるとか警察呼ぶとか家族呼ぶとか頭の中で流れていたが、
いつもの習慣でスマホを握りしめ、突然生えてきた門に立ち向かってみた。
門の扉は空いており、かすんでいるが中の様子が見える。樽や木箱ががぽつぽつと置いてある。
そして中央には人影が、二人……門に近づき確認してみると、目を輝かせたお爺さんと少女が立っていた。
何故かすんで見えるハズなのに、フードを被った60歳ぐらいの老人の表情が分かるかと言うと、老人も門に寄ってか
いきなり腕を捕まれ門に引きずり込まれた。
---さっきから思考が追いつかない、謎の老人が引っ張ってきた、咄嗟に動けない、そのまま通る
門に入った瞬間、ぞわりとした、頭の中を撫でられたような何とも言えない感触、その奇妙な感覚を確かめる暇もなく老人と一緒に倒れこんだ。
とりあえず急いで立ち上がり状況を確認したかったが、パンッと突然音が、驚いて聞こえた方向を見ると、スマホが火を噴いていた。あの見覚えのある色、辛うじて原型を留めている形、俺のスマホだ。
「俺のスマホがああああああああああああ!??」
ただ見続ける事しか出来なかった、ボウボウも燃え盛るスマホの最期を、しっかり握っていなければ、いずれ手から零れ落ちるのだ。
「いきなり何すんだ爺さ……」
スマホ爆発の原因を作ったであろう爺さんに怒鳴りつけたが、老人の顔を見て気が引いた、あのキラキラとした目では無く、鋭い眼光で俺を睨み付けていたのだ。俺の下敷きになっているのにこっちが伸し掛かられているような、得体の知れない無言の圧に押されていた。
「あ……すみませんでし痛ッ!?」
少しでも離れたいと慌てて立ち上がろうと動いたら、握られていた腕に力を込められた、老人とは思えない凄まじい力で俺の腕を握りしめる。本当に老人なのか?
辛うじて中腰になり、少女の方に助けを求め顔を向けた。彼女も何が起こっているのか分からない様子で、ただただオロオロと狼狽していた。
よく考えてみれば言葉は通じているのだろうか?老人の顔を見た時、明らかに日本人の顔をしていなかったのだ、もしかして彼らの分からない言葉で騒いでいたかも知れない。
しかしどうすればこの状況を打開できるのかと困っていると、掠れた静かな声で応じてきた。
「すまほ、とは何じゃ?アレの事か」
聞きなれた言葉で喋り、老人はスマホの燃えカスを指差した。
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