盗賊の再来
翌朝。
「おはようございます!」
目が覚めると、アイラに挨拶された。先にアイラは起きていたようだ。
「おはよう」
『マスターが最後に起きましたね』
『…シス、おはよう』
『おはようございます』
「さてと…。食事にするか『シス、サンドウィッチお願い』
『分かりました』
「朝は、これを食べるか」
そう言って、アイラにサンドウィッチを渡す。
「ありがとうございます!いただきます!」
「いただきまーす」
そう言って俺たちは、サンドウィッチを食べ始めた。
ちなみにサンドウィッチはこの世界にもあるようだ。(シス調べ)
「おいしいです!」
「うん、美味い!」
それから数分後。
「よし、食事も済んだし、街に向かうか」
「そうですね」
俺はそう言って、昨日だしたものをバッグに入れていく。
『プレハブ小屋は、どう入れればいいんだ?』
『触れてから、収納と念じればバッグに収まります』
『なるほど』
目の前にあったプレハブ小屋は、もとから無かったかのように綺麗にバッグに収まった。
「ずっと気になっていたのですが、ナオヤが持っているそのバッグって亜空間収納型のバッグなんですね。それも、結構な容量の収納ができる」
「…あぁ」
「すごいですよ!亜空間収納型のバッグってかなり高価なんです!」
『なぁシス、バッグの容量って普通どれくらいなんだ?』
『一般的には20kgまでですね。高価なものであれば、それこそ1tonとかってものもありますけど…。ちなみに、マスターのバッグの容量だとこの星を入れることも可能ですよ?』
『はい?さすがに大きすぎじゃないか?』
『マスターはチートですので』
『あっ、そう言うこと。納得』
「実は、このバッグが欲しくて昔から金を貯めていたんだ」
「そうなんですか」
「っと、それより先を急ぐか」
俺は、強引に話を変えて街へと歩き出した。
二日後、いろいろあったがここでは割愛しよう。
「このまま行けば、今日中には街に着きそうだな」
「そうですね。頑張って歩きます!」
マップで点が密集している地点を確認して、俺はそう言った。
それから、街に向かって歩いていると…。再び盗賊に囲まれたのであった。
「お前ら、昨日の盗賊じゃないか」
「てめぇは、昨日の!」
「昨日は疲れて寝てしまっていたが、今度はお前を倒してやる」
「その女も返しやがれ!」
盗賊たちは、一斉に騒ぎ始める。
『昨日、マスターの魔法で倒されたことに気付いていないようですね』
『あぁ、そうみたいだな…。さて、どうするかな?』
俺は、この盗賊たちをどうするか考える。
「ナオヤ、盗賊たちなら捕まえてギルドに渡せば、報酬をもらえますよ?」
「なんだって!」
『シス、バッグって何でも入れられるんだよな?』
『はい、何でも』
決まった。俺は、考えていることをすぐに実行に移す。
まず、近くにいるやつに接近して肩に触れる。
『収納!』
「なにっ!」
「てめぇ、仲間に何しやがった!」
触れられた男は、そのまま消えていった。
残った盗賊たちは、激昂して俺たちに斬りかかってきた。
「遅いな」
そう言って、俺は次々と斬りかかってきた盗賊を、バッグに収納していった。
気が付けば、全ての盗賊がバッグに収まっていた。
『シス、盗賊たちの時間を止めてもらってもいいかな?』
『分かりました』
俺は、シスに言って盗賊たちの時間を止めてもらう。
これによって、盗賊たちが空腹などで死ぬことはないだろう。
「ナオヤ、今の人たちはどこに消えたの?」
「あぁ、バッグに入れたんだ」
「えっ、バッグには人は入れられないはずですが…」
「えっ!そうなの!」
『シス?』
『はい、通常のバッグだと人は入れられません。そう言う魔法がかけられていますので。ただ、マスターのは自作のものなので、好きなように設定を変えることができるのです』
なるほど。とりあえず、誤魔化すか。
「実は、俺の村での名産品なんだ」
「やはり、そうなんですね!すごいです!」
うん。ちょろい。
『ちょろいですね』
なんだか、シアの言葉遣いが俺に似てどんどん酷くなっていっている気がするんだが。
『気のせいですよ』
『気のせいなのか?』
『そうです。気のせいです』
『やっぱり、気のせいか…』
『ちょろいですね』
『おい!』
やっぱり、言葉遣いが酷くなってる。てか、俺よりも酷い気がするんだが…。
「それより、先に街に向かおうか」
「はい、行きましょう!」
それから数時間後。
日は傾き始め周囲は暗くなってきた頃になって、ようやく俺たちは街の前まできた。
「やっと着いたな」
「ゆっくり休めるのです」
そう言いながら、俺たちは門へと向かって歩いた。
「ちょっと待ちなさい」
俺たちが門をくぐろうとするとき、突然門の横に立っていた兵士に止められた。
「なんですか?」
「君たち、通行証を確認させてもらえるかな?」
通行証?なんだそれは。
『通行証とは、その街に入るために必要なものなのです。冒険者登録すれば、ほぼ全ての街に入ることができますよ』
『見せないとどうなるんだ?』
『斬られます』
『よし、なら俺が先に斬ってやる』
俺は、腰から剣を抜こうとすると…。
「ちょっとナオヤ!何してるの!すみません、これでいいですか?」
「おう、確かに確認したぞ。街に入っていいぞ」
アイラが通行証のようなものを見せると、兵士は門を通らせてくれた。
「ちょっときて」
俺はアイラに強引に引っ張られながら、街に入っていった。
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