ムチャとトロンの冒険譚・五章
ベリス王国へと戻った二人は、ムチャの師匠であるケンセイと再会する。
そこで二人は自らの出生の秘密を聞かされる。
かつてケンセイが魔王を倒した時、魔王の肉体は滅びたが、その心と魔力は消滅しなかった。
ケンセイは魔王の心を魔王の息子であるムチャの中に封じ、そしてムチャの記憶も封じ込めた。
一方魔王の魔力は、ケンセイの仲間であった魔法使いクレアが寺院に持ち帰り、研究中であった人造生命体のトロンに封じ込めた。
ムチャが強力な感情術が扱え、感情術を使うと暴走してしまうのは心が二人分あるからであった。
そしてトロンの魔力が強いのは、魔王の魔力をその身に秘めているからだ。
☆
ケンセイがムチャを育てながら旅をしていた理由は、魔王との死闘の中で魔王の深い悲しみを知ったからである。
かつて魔王は一人の旅人であった。
そして旅人は人々の負の感情を自分の中へ封じる力を持っていた。
旅人は世界中を旅して、あらゆる人々の悲しみや怒りを封じた。
しかし、愛する人を盗賊に殺された事をきっかけに、これまで封じた全ての負の感情が溢れ出し、旅人は魔王となった。
魔王はケンセイに殺される時、息子であるムチャをケンセイへと託し、ムチャには多くの人々の笑顔を見せてやって欲しいと願ったのだ。
☆
しかし、新たな魔王が現れた今、旧魔王の力の一部を持つムチャとトロンを野放しにしているわけにはいかなくなったケンセイは、二人を寺院へと連れ戻しにきたのだ。
トロンはケンセイの部下達に連れ去られ、ムチャはケンセイとの一騎討ちに敗れる。
そこに新たなる魔王が現れる。
ケンセイはムチャから返却された剣からエンシェントホーリーフレイムドラゴンを召喚して戦い、魔王を一時撤退させるが、ムチャを庇って命を落とす。
☆
全てを失ったムチャは、絶望に打ちひしがれながら一人で旅を続ける。
そして数ヶ月後、かつてケンセイが修行をした高山へと辿り着く。
そこでムチャはケンセイの師匠であったチン老子に出会い、修行をする事となる。
一方トロンは、その力を魔王に利用されぬように、寺院で魔力の結晶に封じられる。
結晶の中で眠りについたトロンは夢の中で、今は亡きクレアと再会し、自らの中に眠る魔王の魔力をコントロールするための修行をする事となる。
更に一方、各地で魔王軍との戦いや魔物退治を続けていたナップは、トロンが寺院に連れ戻された事を知り、心神流の役職をクビになる。
更に更に一方、プレグとニパもナップからの知らせによりムチャとトロンの現状を知り、トロンを寺院から救い出すために芸人を休業し、修行を始めるのであった。
そこから一年が経過する。
プレグは実家である魔法の学院に戻り、一章にてムチャ達に倒された父ダリルに頭を下げ、魔法を基礎から学び直した。そして魔術百人組み手を乗り越え、魔法学院の至宝である魔術の鞭を手に入れる。
プレグと別れたニパは、獣人の里に辿り着き、真の野生を学ぶ事となる。そこでニパはトラの獣人であるベルと切磋琢磨しながら、獣人としての真の力に目覚める。そして自らの父がかつて獣王と呼ばれる伝説の獣人だった事を知り、父の遺物である伝説の武器・獣王の爪を引き継ぐのであった。
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