タイトル未定

風音

プロローグ

僕が暮らす港町には何百年も前の昔から語り継がれてきた伝承がある。

「太陽が月を隠す夜、然るべき者が然るべき物を持って港に立つと沖に古の船が現れる。」

そんなもの僕は端から信じちゃいなかった。どうせよくある子供を怖がらせるためのお話に過ぎないと。だって、今の時代にお化けだの謎の船だの信じられるか?もう、太陽が月を云々の時点で嘘臭いじゃないか。そんなふうに思っていた。そう、あの晩、本当にその船に出会ってしまうまでは。

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