Timeless Memory Obedient
深弦離羽
プロローグ
地球がある銀河とは違う宇宙に存在するアチーブメントスペース。300年前そこでは戦争が起こっていた。アチーブメントスペースにおける3つの世界。3つの世界の中で一番上にある天界。3つの世界の中心に位置する人間界。3つの世界の一番下に存在する魔界。その中で天界の天上人、そして魔界の魔人が人間界を巡って戦争を行った。これを天魔中戦争という。しかし、魔界の王である“魔王”の突然の死。そして、天界の統一者の“神”が、後任に代わったこと。これによって200年に渡る戦争は終わり、人間界は2つの世界で繁栄をもたらしていこうという話し合いの結果を生んだ。
ここは人間界にある機関。ISO――インターナショナル・サバイバル・オーガニゼーションと呼ばれる。そして、今ここでは今期入ってきた職員の研修が終わり、これから修了式が行われようとしていた。
「代表、ISO=ジン前へ」
「は、はい!」
代表として呼ばれたジンがオーディックリーダーに呼ばれると前に出る。そして、修了した証としての証明書を受け取る。
基本的にISOの職員は名前の前にISOをつけて呼ばれる事になっている。もちろん、実際の名前はあるのだが登録名として使われている為、この呼び名を使われる。
そして、修了式が終わり廊下を歩くのはISOに置ける一番上の存在――オーディックリーダーであるロザリー。そして、その秘書であるブロスだった。現在廊下には2人が歩くコツ、コツという靴の音しか聞こえてこない。それほど静かだった。
「……本当によろしかったのですか?」
「何か問題があったかしら?」
「ISO=ジンの事です」
ブロスがこう言うのもおかしくはない。それは何故か。
「彼はここまでの研修での成績が一番下。筆記もダメ、実技もダメ。出来るのはサバイバルでの料理のみ。何故彼を合格させたのです?」
そう、修了式にて代表として呼ばれたISO=ジンは成績が一番下にも関わらず、ロザリーの判断で合格となったのだ。
「私の判断に問題があったとでも?」
「そんな事は――いいえ、あります」
ロザリーはこんなブロスだからこそ信頼している。
彼はロザリーの前任者である父の時から秘書として働いてくれている。そして、そのまま何も言わずにロザリーの秘書を務めていた。
「言いたい事はもちろん分かっているわ。ただ――」
「ただ……?」
その間にブロスは少しだけいつものロザリーとは違う何かを感じた。それは、どういう物なのか。
「同じ物を感じたのよ」
優しさ、慈愛。そんな生易しい物ではなかった。それは、そう――。
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