第4話
「あー、よく寝た」
今日から、いつもより早めに起きることにした。そのため、就寝時間も早めている。男の頃より、朝の支度が大変だからな。
朝の支度は昨日よりはほんの少しだがペースアップしている……気がする。
「行ってきまーす」
今日は余裕を持って学校に行くことができた。早く出たおかげで、相変わらずスカートはスースーするが、ゆとりを持って走らずにゆっくり学校に向かうことができる。
登校して自分の席に座ると明里が女の子を連れて、俺のところにきた。たぶん、連れてきた女子が彩香って子だろう。
「彩香、病気治って学校に来たわよ。」
やはり、この子が彩香だった。
「ゴメンね、瑠奈さん。心配かけちゃって」
「あ、いや、お……私に謝ることなんてないよ。元気なってくれてよかった」
彩香が休みがちなことは同じクラスなので知っていたが、男の頃に何の面識もなかったので、実際のところあまり心配もしていなかった。なんか申し訳ない。
彩香は話してみると性格も良く、なかなかいいやつだった。しかも、かなりかわいい。
明里も美人なので、3人で歩いていると、周りの男子たちからものすごい視線を感じた。なんだか、落ち着かない。
一時間目に先生から、うちのクラスに転校生がきたのでこれから自己紹介をさせるという話があった。
「入ってきていいぞー!」
先生が廊下にいるであろう、転校生に呼びかけた。
その呼びかけに応じ、転校生教室に入ってきた。どうやら、男子のようだ……
「えっ!なんで⁉︎」
俺は驚いて、声が出そうになってしまい、慌てて口を抑えた。
教室に入ってきた転校生はなんと、中学2年まで俺と同じ学校で、3年の時に突然どこかに引っ越してしまっていた、俺の親友
放課後の部活に雅樹が来ていた。
雅樹は、小学校のころからバドミントンをやっていたのでかなり上手い。県の大会でも優勝してたように記憶している。
俺は自分が女になったことをすっかり忘れて、雅樹に中学の頃のように「マサキー」と呼んでしまった。
雅樹は一瞬驚いた顔をして俺の方を向いくと、「たしか同じクラスの夜月瑠奈さんだよね。これからよろしく!」と言って練習をしにコートへ戻っていった。
やっちまった。「よろしく!」なんて言ってたけど、心の中では絶対、「こいつ、いきなりなんだ!」とか思っているんだろうな。失敗したな……。
でも、後悔してても仕方がない。俺は部活の帰りに雅樹に男の頃の俺、つまり、夜月亮太のことを覚えているか聞いてみることにした。
部活の帰り道。
俺は、雅樹に声をかけた。
「マサキくん、さっきは急に馴れ馴れしく呼んでゴメンね。」
「気にしなくていいよ。オレも転校したばっかりでまだ仲の良い友達ができてないから、気軽に話しかけてくれるのは大歓迎だ。」
「そっか……。じゃあ、これからマサキくんって呼んで良い?」
「もちろん。 そういえば、夜月さんって夜月亮太と親戚だったりするの?」
えっ⁉︎マサキは俺のことを覚えてんの‼︎
ここにきて新事実発覚だ。他の人はみんな覚えてないのになんでマサキだけ覚えてるのだろう?
この際、本当のことを話してみるか。うん、それが良い。
「マサキくん、この後、暇?」
「ひまだけど、どうしたの?」
「よかったら、少し私の家に寄ってくれないかな?」
「べ別にいいけど……。」
少し動揺してるな。そりゃそうか、だって急に女の子から家に来てくれないって言われたら、俺だってびっくりするよな。
それより、まずはなんで俺のことを覚えていたのか聞いてみよう。
「なんでマサキくんは、私が亮太の親戚だと思ったの?」
「夜月っていう名字は珍しいから」
確かに、夜月って名字は他に聞いたことないな。納得‼︎
俺の家に着くまで、マサキと会話を弾ませた。マサキの趣味は知っているから話を盛り上げるのは造作もないことだ。
それから10分後。
「ついたよ!」
俺の家に到着した。親が建てた夢のマイホームだよ(ローン25年だよ!)。
「あれ?この家って亮太の家じゃなかったけ?」
マサキは不思議そうに首を傾げた。
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