第2話
瞼を閉じていても差し込んでくる日差しで目を覚ました。カーテンの隙間から日光が直接俺の顔に当たっていた。道理で眩しかったはずだ。
「ん⁉︎今何時?」
ずいぶんと眠っていたらしく、カーテンをしていても十分明るいくらいに日が昇っている。
未だにまだ眠たい目を擦りながらベッドから体を起こす。相変わらず慣れない胸の重み。男だった俺からするとただ邪魔なだけの髪をかき分ける。
カーテンを開くと日は真上にある。昼の12時くらいだろう。せっかくの日曜をかなり無駄にしてしまった。
さて、どうしたものか。
「明日から学校だ。どうしよう‼︎」
昨日は明日もあるからと余裕をかましていたが、いざ日曜になると焦ってしまう。事態は何も解決していない。
まず第一に、話し方を変えなきゃいけないよな。
今まで通りに俺っていうのは女だから変だ。なんかイタいやつとかに見られたくないもんなぁ……。ボクって言うのもそれこそダメだよな……。普通に『私』でいいかな?うん。無難で1番良いかも!
ーーピロロン♪ーー
あれ?スマホにメールが来てる‼︎なんだろ?
メールの内容はこうだった。
・君は私たちの実験によって女になったことはもうわかっているだろう。だが、もう一つ、君を改造している部分がある。本当は吸血鬼にしようかと思ったけど時間がなかったから蝙蝠になれる能力だ‼︎
ちょっと待てよ!吸血鬼ならまだしも蝙蝠ってなんだよ(怒り) どうせなら吸血鬼にしろ‼︎
ん?まだ続きがある。
・蝙蝠ってなんだよ(怒り)って思っていると思うからそういう君に朗報です‼︎
蝙蝠の能力を使いこなすことによって、吸血鬼に進化できるぞ‼︎ 以上
なるほど、吸血鬼にはなれるんだな。
いやいや、なんで俺は吸血鬼になれると知って満足しているんだ。いやいや、それ以前にこのメールの送り主はいったい誰なんだ?なぜ、俺をこんな姿にしたんだ?
謎は深まるばかりだった。
結局、俺は今日一日中、俺が女になった理由や明日からどうすれば良いのかについて考えていた。
ふと窓の外見ると、太陽は沈みかけ夕暮れになっていた。こんなに長い間考えてたのか……。
「ルナ〜、ご飯よー。」
一階からお母さんが声が聞こえる。
俺は一階に降り、リビングで父、母、俺との3人で食事をした。親は俺に普通に接している。
やはり、男の俺は忘れ去られたのか。なんか寂しい……。
食事の後に、俺は風呂に入った。女になってからの2日目の風呂だが、とうぜんまだ慣れない。自分の裸を見て顔が赤くなってしまう。まるで、覗きをしているような罪悪感に苛まれる。心の中は男のままだ。自分の裸にもこれからは慣れていかなければいけない。
風呂から上がり、バスタオルで身体を拭き、髪をドライヤーで丁寧に乾かす。男の頃は髪も短く、バスタオルで髪も拭くだけで、ドライヤーなんて使ったことがなかった。肌のお手入れやらなんやら、かなり面倒だ。
今日は早めに寝ることにする。本当なら、これからのことを考えた方が良いのだろうが、これだけ考えても何も解決しなかったので、答えが見つかりそうになかった。早めに寝る=現実逃避ということだ。
こうして、女になって2日目が終わった。
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