8話 『2人の距離はまた遠く』
半径50m、完全な半球形の訓練用施設。壁面には透明な特殊なゲルが緩衝材として流れ、外周部には観客席まで設けられている。
その姿は
紗乃が端へと移動し終わると同時に悠馬の目の前の地面がゆっくりと左右に開き、その割れ目の中から訓練用の
「
短いその言葉に応じ、
悠馬の視界にはPhase1という文字列と100秒のカウントダウン、そして隅に0ptというウィンドウが表示された。
「なあ、スポーツテストだよな?ちょっとばかし話が違うんだが」
「簡単に言えばと言ったはずよ」
悠馬の視界では100秒のカウントが1秒減る毎に1ptが加算されている。MAX100pt、倒すか逃げ切ればボーナスptが付加されるといったようなところだろうか。
もしその仮定が正しいとしても、やはり悠馬の想像していたスポーツテストとは少々内容が違う。
「ボール投げたり走ったり、そういうオーソドックスな極一般的なものを想像してたんだけどな」
苦笑する悠馬は突進してくる
闘牛のようにひたすら突進を繰り返してくる
その際軸足を絡めとることも忘れず、しっかりと相手のバランスを崩し顔面へと強烈な膝蹴りを喰らわす。その一撃が有効と判定されたのか、
「ヘラヘラしない、次」
視界の表記がPhase2、ptは150ptへと切り替わるのを見ながら満足そうな笑みを浮かべた悠馬に紗乃から例の如く、お小言が入る。
「へいへい。撃破ボーナス50pt、1PhaseあたりMAX150ptか?」
「そういうこと、飲み込みが早くて結構」
今朝なにか嫌な予感がして念のため制服の下にスーツを着込んでいた悠馬はそのおかげもありPhase5までは難なく進んでいく。
だが、快進撃もそこまでだった。Phase6へと突入した瞬間、悠馬は苦戦を強いられ始めた。
(6でギリギリという予想だったけれど意外に粘るのね・・・これなら思ったより早く──)
紗乃は予想外の健闘を見せる悠馬の姿をじっと見つめながら怪しげな笑みを浮かべていた。
そんな紗乃の方を見る余裕もなく悠馬は
(ヤバいのがくる・・・!)
直感で悠馬がそう確信し左へと緊急回避を始めたのと
0コンマ数秒後、悠馬が元いた場所には小さなクレーターが形成されていた。
「訓練だよな?こ、殺す気か・・・?」
自らの横で煙を上げる地面と視界に映るPhase7の文字列を見ながら悠馬は冷や汗をかいた。そんな辛うじて保たれた身の安全に胸をなでおろしたのも束の間、
「あ・・・れ?」
ふと戻した視線の先に
「注意力散漫、寝てるのかしら?」
その光景は前回の緊急
「終わらせる方法、聞いてねぇんだから仕方ないだろ・・・」
「屁理屈だけは相変わらず達者なのね」
ゆっくりと地面へ着地し、紗乃は服についた砂埃を払うと端末を何やらいじり始める。
そんな彼女の操作を受けてか訓練用
「テストはこれで終わりか?」
「ええ、私の予想より健闘したわね」
「褒めてるのか貶してるのかよく分からないんだが」
「素直に喜んだらどうかしら?」
と言われてもその変わらない上からの物言いに悠馬は素直には喜べない。もちろん紗乃に感心され、褒められるのは悠馬にとってかなり嬉しいことなのだがそれはそれ、これはこれだ。
「まあいいか・・・。それでどうなんだ?」
おそらく紗乃の視界に表示されているであろうテストの結果、A/D/Sポジション適性について悠馬は聞く。
無言のままの紗乃から送られてきたメッセージに添付された画像には85/0/15-C2と書かれていた。
「つまりあれか、85%の適性が出てるアタッカーで決まりか」
「ええ。C2相当の実力、妥当なところね」
テスト前から分かっていたことだが紗乃が生粋のアタッカーであることを考えれば、チームのバランス的な問題から悠馬に望まれるのはやはりディフェンダーとしての素質だったのだろう。アタッカーばかりのチームというのは素人から考えても少し悩ましい。
「そう気にすることはないわ。ディフェンダーはかなり特殊な能力を持っていないと適性が出にくいの。無能力の柊崎くんにはアタッカー適性が高く出ることは分かっていたこと」
そう分かっているなら何故こんなことをさせたのか。それを聞くほど悠馬はヤボではなかった。
九条 紗乃という人間が無駄なことはしないということは既に彼も理解しているのだ。
「ならディフェンダーって貴重なのか、引っ張りだこなんだろな」
「そうね、現にディフェンダーはソロで様々なチームと契約することが多いもの」
紗乃が言っているのはソロで活動する生徒が他チームから依頼を受けて
相手側から要求されるMPさえあれば悠馬でも高ランクの生徒の協力を得ることができる画期的なシステムだ。
より優秀なメンバーを加えることによって
「帰りましょうか」
「せっかく来たのにもう帰るのか?なんなら少し身体の使い方とか教えて欲しいんだが」
「過度に動いても効率が落ちるだけ、それに私は刀の扱いにはそれなりに自信があるけれど徒手格闘はまったくだから」
そう言うと紗乃はエレベーターへと繋がる出口へと向かってしまう。
「なら刀の扱い方教えてくれよ、今度でいいからさ」
「気が乗ればね」
紗乃の答えに悠馬は屈託のない笑顔を見せた。悠馬には目の前の彼女がほぼ確実に、気が乗る乗らないの問題など関係なく約束を果たしてくれる確信があった。
「なんやかんや優しいとこあるからな、お前」
「なにか言った?」
「いいや、なにも」
まだまだ人で溢れている訓練棟を後にした2人は自宅へ戻ると早めの夕食をとった。
「明日の予定は?」
夕食の後片付けをしながら悠馬は紗乃へと話を振った。基本的に悠馬から話しかけない限り紗乃は口を開かない。そのためこうして何気ない会話を定期的に振るのも、もはや2人の習慣だ。
「特に考えていなかったけれど・・・トレーニングかしら」
「
毎日紗乃と
「受けるにしても高難度のものしか残っていない可能性が高いわ。試験前最後の休みなのだから、今頃
「
悠馬は未知の単語の意味を調べるため、膨大な情報量を誇る学内パンフに
【
という説明が出てくる。それを読みながら悠馬は食器を片付け終わると紗乃の前へと腰掛けた。
「で、どうしてそんな醜い争いが起きるんだ?定期試験でそれなりの結果を残せれば一先ずMPには困らないだろ?」
「まったく・・・それがそこまで分かっていてする質問?頭がいいのか悪いのか・・・、あなたは何の対策も無しに試験に臨むの?」
「そんなに呆れてくれるなよ・・・」
つまり試験前に低難度の
「とりあえず明日の予定は了解。じゃあオレ今日も行ってくるから、おやすみ」
「飽きないのね。朝は8時までに起きるように。おやすみ、柊崎くん」
悠馬は初日から毎日、夕食のあと食器を片付けると銭湯へ行っている。
この1週間で紗乃が風呂の共用や洗濯物を一緒に洗うことに理解があることは分かっているが、疲れた身体を癒すのには大きな湯船に浸かるのが最適というのが彼の自論だった。
そして今日も大きな湯船にゆっくりと浸かり瓶ジュースのチョイスに悩み、銭湯から出たときには時刻は20時を過ぎていた。
すっかり日も暮れ、綺麗な月と春特有の涼し気な夜風が火照った身体に気持ちいい。マンションの1階に併設されているコンビニの新商品を物色し、その中から一際推されていたシュークリームを1つ買い、自宅の前まで来た悠馬はまだ部屋に灯がついていることに気がついた。
(珍しいな、いつもは帰ってきたらもう寝てるか自室に篭って出てこないくせに)
そんなことを不思議に思いながらゆっくりと玄関のドアを開けた悠馬は普段見かけない3足の靴を見つける。
「来客?こんな時間に?」
時間帯と紗乃のあってないような、というより全く存在しない交友関係を考えたところで誰が来ているかなど分かるはずがない。
仕方なく奥のリビングへと向かった悠馬を待っていたのはお馴染みの八木たち3人組だった。
テーブルを挟んで紗乃と3人は向かい合って座りながらどこか居心地が悪そうだ。
「柊崎くん、おかえり。遅かったのね」
「ちょっとコンビニに寄っててな・・・って状況説明を求めてもいいか?」
「見た通りよ、こんな夜更けに来客。それも何の連絡も無しに」
「どこが見た通りなんだ。ちっとも分からん」
お通夜ムードの4人の前でずっと立っていられるほどメンタルが強くない悠馬は紗乃サイドと八木サイド、その両方を見比べてからゆっくりと紗乃の横へと収まった。
「それであなたたち3人はこんな時間に何をしにやってきたのかしら?」
どうやら悠馬がくるまで特に何かを話したわけではないらしい。途中参加の悠馬にとっては嬉しいことだ。
「言いづらいんだが・・・オレ達のチームが受ける
八木、長谷川、牧田の体育会系さっぱりイケメンズは柄にもなく申し訳なさそうな顔でそう告げた。
「その頼みを受けるか受けないかは別として、理由を聞かせてもらえる?」
「知っての通りオレ達は逢田、鳴瀬、坂井、大宮たちとチームを組んでる」
呼ばれた名前を聞きながら、クラスメイトの顔を思い出す悠馬の頭の中に浮かび上がるのは全て女子生徒だ。
「お前達3人が一緒のチームってことは気づいてたが、女子も一緒なのか」
「柊崎くん。関係のない話は外でしてくれる?」
初めて知ったことに驚きついつい口を挟んでしまった悠馬へ紗乃が冷たい目を向けてきた。
どうやらご機嫌斜めのようだ。それを察した悠馬は顔を俯けてそれ以上口を挟む気がないという意思を示す。
「今、試験前で低難度の
「だから手伝って欲しいと?」
「ああ」
話が早くて助かるといった風に3人の顔が初めて明るくなった。だがそんなことはお構い無しの紗乃の口から発せられる言葉は辛辣だ。
「色々。そこを聞かせてもらえる?依頼を受ける側としてそれくらいは当然の権利だと思うのだけれど」
「・・・もちろんだ」
一瞬、嫌そうな顔をした八木だったが背に腹は代えられないらしくすぐに説明が始まった。
「女子4人と同じチームってのはもう言ったな。その4人が
やはり大所帯、男女混合チームというのは色々と大変らしい。他人に合わせることが苦手な悠馬は自分のチームが2人という少人数であることに安堵した。
そんな悠馬とは違い紗、乃はより一層機嫌を悪くしたようだ。普段から鋭い目つきがより鋭さを増している。
「そういうことなら私は協力しない」
「なんでだよ!」
大きな声をあげたのは今まで黙っていた長谷川だ。紗乃のことをよく知らない人間なら、ここまでの流れで彼女が手を貸してくれると思ってしまっても仕方が無い。
しかし現実、悠馬の隣に座る彼女はそう単純でもお人好しでもない。
場の雰囲気でろくなことにならないことを早々に悟った悠馬は紗乃を盗み見るが、やはりかなり機嫌が悪かった。
「当然でしょう?私たちにメリットがない、そしてあなたたちの問題を他人である私のところに持ってこないで」
「でも柊崎は・・・」
「そうね、柊崎くんならあなたたちと知り合いなのだし手を貸してくれるかもしれないわね」
正直この状況で話を振られるのは悠馬にとってかなり辛い。人間関係の対立やあれこれは今まで特に交友関係がなかった悠馬の専門外。
それだけでもお手上げ、逃げ出したくなるというのに相手はあの九条 紗乃だ。万に一つも悠馬にできることなどないだろう。
(九条を取るか、八木たちを取るか人間ってこんなめんどくさいのかよ・・・。頼むからもっと自己完結してくれよ・・・)
そう心の中で思いながらも悠馬は
「オレ1人ついて行っても大した戦力にはならないしさ、むしろ足引っ張るぞ?」
と客観的事実を基盤にし、紗乃とも目の前の3人とも険悪なムードにならないようにそう言うしかなかった。
所詮、悠馬もなんの力もない普通の人間だ。それは何を思おうと変わらない。
「それもそうね、オススメはしないわ。そしてチームメイトの柊崎くんの友達だからといって私は同情する気も無駄な労力を支払う気もない」
紗乃なりの最後通牒なのだろう。もう帰れと言わんばかりにその言葉は鋭く、冷たい。
友達として、入学してから色々と世話になった身としてはなんとかしてやりたいが紗乃ほど力があるわけでもない。そんな悠馬としては複雑だ。
「頼む」
苦しそうに言う八木とその姿をじっと見つめる紗乃。彼女は一体今何を思っているのだろうか。
「あなたたち3人の誠実さ、と言うのかしら。それは分かったわ」
「なら・・・」
「3人。逢田さんたち4人を除いたあなたたちだけなら無報酬で
紗乃なりの譲歩なのだろうか。仮にも仲間である者を切り捨てるのか、紗乃の助力を得るか。八木、長谷川、牧田という性格のいい3人にとっては究極の二択だろう。
「元々、
「あなたたちが独立してチームを組まない限り一切の手助けはしない」
紗乃は荒々しく立ち上がり、目の前の3人を見下ろす。
「ここで生きていくことはそんなに甘いことではないわ。仲良し小好しでどうにかなるものでもない。他人の力を頼る前にまず努力しなさい。最後に聞くけれどあなたたちはどうしたいの?」
「どうって・・・、7人でチームなんだこのまま誰1人欠けることなくやっていきたい。それだけだ」
八木たちらしい答えだと悠馬は思った。だがそれでどこまで通用するのか、その問いの答えはこの1週間で既に嫌というほど分かっていた。
そんなことを悠馬より分かっているであろう紗乃はリビングから出て行こうと身体の向きを変える。
そして去り際に
「それがあなたたちの夢、いいえ理想といったところかしら。自分の理想も1人で貫き通せない者には何も変えられないし、誰も突き動かせない。それをもっと理解することね」
と言うと自室へと戻ってしまう。
残された悠馬と3人は微妙な空気のままリビングへ取り残され、誰かが最初に口を開くのを待った。
そのまま、2分、3分と時は流れ、仕方なく最初に住民である悠馬が口を開いた。
「あいつ性格悪いからさ、そう落ち込むなって。それに定期試験できっちり結果残せば高難度
「ポイントがあるお前はそう言えるが、ないやつはせめて試験前に少しくらい実戦経験を積みたいんだよ」
「そ、そうだな悪い。勝手なこと言っちまったな。なんとか九条にオレからも頼んでみる」
相当フラストレーションが溜まっているらしい牧田は悠馬に対し攻撃的だ。隣にいたのに何故何も言わなかったのかと問いたいのだろう。
半ば逆ギレだがその気持ちが分からなくもない悠馬は、ただ牧田を刺激しないように務めることしかできなかった。
「牧田、柊崎は悪くない。とりあえず今日は帰ろう。定期試験で結果を残せばいいっていうのは本当の話だ」
八木の言葉を最後にその場は御開きとなり、3人は帰っていく。その姿が消えるまでエントランスで見ていた悠馬は柱に寄りかかると大きな溜息を絞り出すようについた。
紗乃の言うことは完璧な正論だ。努力しなかった分のツケが今になって回ってきただけという話。
それは理解していても悠馬は納得ができない。自分にはない力を持ちながら、他人に手を差し伸べることを拒む彼女が理解出来なかった。
そんなやりきれない気持ちになりながら自宅へと戻った悠馬は自室、ではなく反対側の紗乃の部屋のドアをノックした。
「起きてるだろ?」
「ええ、一応」
彼女の声にはまだ怒りの色が薄ら残っている。ここで何かを言えば火に油を注ぐこととなるだろう。
そう分かっていても悠馬は敢えて紗乃に問う。
「なんであいつらを助けてやらないんだ?」
「さっき言ったはず、自業自得。そしてなにより私にメリットはないもの」
もたれかかる後ろの扉から響き伝わってくるその声はまだ冷たい。
「なら1つ聞いていいか」
「断っても聞いてくる気でしょう?その質問の必要性がないじゃない」
「確かにそうだな。なんでお前はオレを助けてくれるんだ?」
紗乃が誰にも手を差し伸べず、本当の意味で孤高に生きているなら悠馬はつい数分前のやり取りにも納得ができた。
だが実際はそうではない。
悠馬という例外があるのだ。それが恋愛感情や好意の類ではないことは明白。
なら、その理由とはなんなのか。
「チームメイトだから」
たった数瞬の迷いもなく、紗乃は短くそう答えた。
「そうだよな」
「ええ。1つ言ってもいいかしら」
「ああ」
今度は少し間が開く。
「自分のことは自分でやらなければならない。私はそう思う。本当に誰かの助けが必要なとき、その場に助けてくれる誰かがいる可能性は低い。そしてなにより、その誰かがいてもその人に解決できる問題であるかどうか・・・」
紗乃のその声はまるで独り言のように小さくか細く、そして何かに怯えるようだ。
「結局、信用できるのは自分だけ・・・。不確定要素である他人に何かを求めたり、期待するのは愚かだわ」
扉越しに聞こえるその言葉ひとつひとつが悠馬の心に刺さる。だがそんなことは紗乃には分からない。
「誰かを助けることは素晴らしいことではあると思う。でもそれは、真の意味で力のある人間にのみ許される行為。そこには重い責任が伴われてしまう。私が助けられるのはせいぜいがこの手、そして手に握る刀の届く範囲まで」
「その小さな範囲にオレはたまたま入ってるってことか・・・」
「そういうこと。ごめんなさい変なことを言ってしまって。忘れて」
自分でも柄にもないことを言った自覚があるのか紗乃は最後にそう付け足した。
その一連の言葉が九条 紗乃という1人の人間の本質なのではなのだろうか。悠馬はそう思う他なかった。でなければ忘れろというのはおかしいのだから。
だがその真偽を確認する雰囲気ではなかった。
「ああ。じゃあまた明日な」
「おやすみ、柊崎くん」
「おやすみ」
紗乃との会話が終わってからも悠馬はドアへともたれかかっていた。
そうしていれば彼女からまだ何か話してくれるのではないか。もしかすれば彼女の口からもっと優しい言葉が聞けるのではないか。悠馬はそう期待してしまう。
なぜかこの1週間で九条 紗乃という人間を理解したつもりになっていた悠馬はたった今、そうではなかったということを思い知った。
10数年という年月、産まれてから積み重ねてきたものをたった1週間で理解できるはずなどない。それこそ完全に理解するにはその長い年月と同じ、或いはそれ以上の時間が必要だろう。
そんなことは分かっていても悠馬は彼女を理解したい。そしてまた、彼も彼女に理解し受け入れて欲しいのだ。それは果たして彼のエゴなのだろうか。
「また分かんなくなっちまったな・・・」
悠馬は寂しそうな目をしながら床へと座り込み、目の前に立つ自室のドアへと向かいそう独りごちた。
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