白:<最強>

チャイルド=リカー


 時代の英雄、あるいは時代に即した芸達者。敵として出てくると「終わったわ」となり、味方として出てくると「よし勝ったな」となる<最強>の賞金稼ぎ。


 強盗童話に【カラーズ】という設定を加えたときに、一番最初に作ったカラーズがこのチャイルド=リカーです。プロト版ではブラックが収監されている刑務所の相棒、というか調達屋をやっていましたね。むしろもう名前しか共通点がない、ある意味で一番テコ入れが入った存在でもあります。


 初出は首輪物語の『YingYangGunsBANG!』。このエピソードはハイネのシンデレラ=エンゲージに連なるものとして載せてはいますが、作品としての本来は読み切りってやつですね。


 例によってプロト版を書き上げて、それから強盗童話に直して、カラーズというモノも作って、となった時にもうなんか『OZとか出ない賞金稼ぎの話!』とかいうノリで書いた気がします。


 そこで、身も蓋もなく『最強の賞金稼ぎ』として作ったのがコイツ。骨子は遊び用オリキャラで出来てはいますが、今になると口調とかその辺だけでスタンスその他は似ても似つかない具合に仕上がってますね。



 一人称は『おれ』、二人称が『手前様てめえさま』。もうほぼこれだけでキャラ立ちしている感さえあります。この手の小細工はそんなに好きではないのですがー!


 カラーズ上位『五色』の【白】。その本質はバド=ワイザーが言っている通り、富と名声を求める即物的な人間――だけというものでもありません。


 チャイルド=リカーはあえて、他者に与える人間味という印象を欠くように振舞う節があります。時には偽悪的なほどに。



 年齢はぼんやりとしか決めてないです。実は妻子持ち、ですが離婚しており、それは故意に行ったことでもあります。


 彼は自分の立場、職業が何であるかをよく理解しているので、愛する妻や幼い娘――が自分に敵意を抱く手合いからしてみればこれ以上無い『的』になる、とわかっていたからこそ、縁を切って遠ざけた、という背景があります。


 それでもきちんと仕送りをするし、ほぼほぼ顔を合わせることもないのでしょうが、時折写真などを送られては頬をそっと緩める、みたいな。


 ハイネに甘いのもその辺が起因しているのかもしれません。


 甘いと言ってもだいぶスパルタな感じの教育を施しているわけですが。


 ステータス的にはチートっぽいモノはその存在以外には特に設けてないですね。あらゆる技能で標準以上を叩き出すハイスタンダード型。踏み抜いた場数と乗り越えた死線の数が群を抜き、彼を最強たらしめている、といったところでしょうか。


『その瞬間に自分に何ができるか』を徹底して行い続ける、本能を駆逐しきった理性の怪物。未来予知にさえ届きうるこそがチャイルド=リカーの真髄だと思っています。


 ……ところで。当時はまったく考えておらず、というかその結末を考えたのは最後の最後だったので当たり前に思考に入ってはなかったのですが、という前置き。


【白】と【黒】の弟子が【灰】音というのは我ながら出来すぎではないのでしょうかー!


 そうそう。エピソード的な補足でいうのなら『YingYangGunsBANG!』のタイトルですね。

 インヤンは言わずもがな陰陽で、あ、陰陽図好きなんです。こほん。


 太極図とも言われるあの白黒マークにはそれぞれの内に、対となる色が小さく入っているではありませんか。リカーとブラックはそんな感じです。


 社会の明として英雄であり続ける男は、付けられた色ほど無垢ではなく。


 社会の陰として追われ続ける男の中には、消えない正義の心が残っている。


 チャイルド=リカーが大スキャンダルの芽になることを承知でブラック=セブンスターを相棒として起用し続けることにもちゃんとした意味があります。戦力として以外で。


 そのエピソードも公開できたらいいなー、とぼんやり考えつつ、五色編はこれにて終了。

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