第39話 デスゲーム
『一色誉』
と俺のスマホが表示していたっ。
その名前をみて全身に悪寒がはしり、嗚咽が止まらない。
なぜだ……なぜなんだ……やっと誉ちゃんから解放されたのにって、違う違う。
そこが問題じゃない。
このアプリは電話番号がわからないと登録できないんだから、どうして誉ちゃんが俺の連絡先を知ってたのかってこと。
俺は教えてないし、俺の知り合いで誉ちゃんと繋がっている人もいないはずだ。
だから本当に謎なんだよ。
っていうかこの件ってミスターXの時と同じなんだが……
まぁいい、とりあえずメッセージを確認してみるか。
メッセージを見ると、『恭介たん。みーつけた』と書かれていた。
みーつけたって、いつのまに隠れん坊?
というかミスターXが誉ちゃんになりすまして、俺のことをからかっているのではないかという線も疑ったけど、この呼び方は誉ちゃん以外にいない。
間違いなく本人。
と、誉ちゃんとは俺の学校の生徒会長こと、一色誉。
しかし、しかしだ。
どうやって俺の電話番号を手に入れたのだろうか……さすがに学校から生徒会長権限で個人情報を閲覧するってことはありえないしなー。
そんなことが許されたら大問題だ。
とりあえず、本人に聞くのが手っ取り早い。
俺がどうやって電話番号を入手したか、誉ちゃんに問うと、
『おしえなーい』
と返ってきた。
このくだりやっぱり前にもあったよね?。
まさかと思うけど、誉ちゃんがミスターXなのか?
しかし下手にミスターXと決めつけるのは危険すぎる……もし人違いだった時のリスクが計り知れない。
とりあえず誉ちゃんと話しを続けてみるか。
『誉ちゃんどうしたんですか?』
『あれ、諦めるのはやくなーい? つまんない』
いや、どうぜ教える気ないでしょ。
ミスターXの時に散々振り回されたからな。
と、頭の中で文句をぶつぶ呟いていると、誉ちゃんから連続でメッセージが届く。
『ヒント教えてあげようか?』
『本当に教えてくれます?』
『もーそんなに喜ばなくてもいいんだって』
『それじゃあ、いくよ?』
勝手に話をすすめる誉ちゃん。
俺喜んでないし、むしろ置いてけぼりじゃね?
なんか誉ちゃんの勢いにのまれて、クイズが始まってしまった。
ヒントを教えてくれる分にはありがたいけどね。
と俺は誉ちゃんに『それじゃあ、ヒントお願いします』と返事を返す。
『うんうん。よろしい。ヒントはね。恭介たんが今いる場所をあたしが知ってるってこと』
『へ? どういうことです?』
『察しがわるいなー。大ヒントあげてるのに。今、スーパー店内にいるでしょ?』
『いますけど、これがヒント? って、なんでわかったんですか? まさかと思いますが、どさくさまぎれて俺にGPSとりつけました?』
『どうだろうね? あはは』
俺はバッグや服にGPS機器が取り付けられてないか探すが、見つけることができなかった。
『あはは、ばかじゃん。つけるわけないじゃん。何そんな焦ってるの?』
そりゃ焦るでしょ……居場所もろにばれてるんだから。
やばい誉ちゃんのほくそ笑んでる顔を想像して、腹がたってきた。
って、今もリアルタイムにみられてるのか?
『ヒントは言ったからね。ちゃんと頭働かせて考えなさいっ!』
GPS機器でないとしたら……俺は周囲を見渡した。
店内は夕飯頃とあって奥様方でいっぱい、お店の外にも誉ちゃんの姿は見当たらない。
ストーキングされてるのかと思ったのだが、違うようだ。
でも、何か見落としているような気がする……
それから少し経って、誉ちゃんからメッセージが、
『はい。ゲームオーバー。恭介たん死亡ね』
『はい、俺死にますって、死ぬかー』
『ゲームで負けたら、死ぬのよ。当然でしょ! わかった?』
『某異世界アニメの設定じゃあるまいし。これはクイズですよね?』
『ゲームはゲーム。負けたら死ぬのよ』
『クイズってそんなリスク高かったっけ?』
『あたしに遊んでもらってるんだから当然の対価よ』
『……』
誉ちゃん。
ひどい、本当に俺のこと好きなのか?
『はいっ、おしまい。飽きたてきわ。それじゃあ次ね』
飽きたって俺完全に弄ばれてるよね?
誉ちゃんは相変わらず俺の意向は無視して、完全に唯我独尊状態である。
とりあえず死を免れたので良しとするか。
『それでね恭介たん、あのね』
と、誉ちゃんからメッセージがきた瞬間、
「恭介くん、おまたせー」
会計が終わり凛さんが返ってきた。
「恭介君、どうしたの?」
凛さんの冷たい視線が突き刺さる。
それもそのはず、さっきGPSを探すのにバックの中身を床にぶちまけていたからだ。
やばい俺いっぺんに二人を相手できそうにないんだけど、嫌な予感しかしない……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます