飛鳥の守護神

葉月みこと

序章 大化の改新

 大化の改新。

 乙巳の変いっしのへんとも言われている。飛鳥時代のクーデター事件。


日本書紀にはこう記されている


 蘇我入鹿そがいるかを襲うはずの子麻呂こまろらは、入鹿の威勢に委縮して、逡巡して進まない。

「やあぁぁぁ」

中大兄皇子なかのおおえのみこは自らを鼓舞し、声をあげた。子麻呂らを叱咤して、大極殿だいごくでんに乗り込んだ。


 入鹿は不意をつかれた。中大兄は剣で頭と肩を斬りつけた。続いて子麻呂が片脚を斬った。

 入鹿は転がりながら玉座に辿り着いた。頭を垂れて、天皇に申し上げた。

「皇位に坐すべきは天の御子です。私に何の罪がありましょう。どうかお調べください」

天皇は大そう驚かれた。中大兄に仰せられた。

「なぜ、このような事をするのか。一体何事があったのか」


 中大兄は地に伏した。

「入鹿は天皇家をことごとく滅ぼして皇位を傾けようとしました。どうして天孫を入鹿に代えられましょうか」

そう申し上げた。

 天皇は立って殿中にお入りになった。


 入鹿は惨殺された。

 


 

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