だって わたし猫 だもの

だって わたし猫 だもの

犬は人につき　猫は家につくんですって

御主人が家族と別れて行った時　犬達はついていったわ

わたしは　お家に残ったの　

しばらくして　御主人に新しいお家と御家族が出来たの

もちろん　わたしも行ってみたわ

御主人は　とても幸せそうで　犬は駆け回っていたの

でも　わたしは　新しい御家族には　なんだか　なじめなくて

だって　　知らない人が　どんどん増えるんだもの

悪い人達ではないけれど

あの　お家では　わたし　くつろげないわ

わたしのお家の御家族は　とても良い人ばかりよ

仲間もいるし　　居心地は良いわ

ただ　時々　御主人が居ないって　寂しくなるだけよ

そういう時は　そっと　会いに行くわ

屋根の上から　そっと　見守るの

犬にじゃれられて　少し困った顔も変わらないし

破顔した　最強の笑顔も　そのままなの

立ち振る舞いも　声も　なにもかわらないの

だから　つい

「ミャ〜（御主人……）」

って　呼んでしまうの

いつも　犬達の吠える声にかき消されるから

御主人には聞こえないわ

視力が弱い御主人が　わたしを見つけられるはずもなく

もしも　御主人に　みつかったとしても

わたしは　そしらぬ顔して立ち去るわ

だって　わたし　猫　だもの

ねぇ　犬って　嬉し過ぎるとオシッコ漏らすんですって

うれションって言うんですって

信じられないでしょ？　犬って迷惑

御主人に迷惑ばかりかけないかしら？心配ね

でも　しかたないわね　犬だから

だって　あいつら　犬だから…

御主人を守ってくれれば　それで良いわ　

今度　わたしの　お家に新しい御家族が出来るの

きっと　良い子よ

わたしの　お家は　良いお家よ

御主人の　お家も　良いお家よ

猫は家につくんですって……

仕方無いわね

だって　わたし　猫　だもの