他人を自身と同じ価値で計れない主人公。
そんな彼の異常性は、序盤は不遜系主人公の蓑で隠されている。
しかし、自身の命が危機に晒される出来事で遂にその本性が現れる。
自分だけが生きられればいいという傲慢さが。
他人の命が奪われようとも彼の心は動かない。
むしろスキルの効果のため、人命を徹底的に利用する冷血すぎる合理さをみせる。
彼の中で唯一、情緒を感じさせるのは、芯の強い人間を面白がる性根と、戦いの際に見せる心底嬉しそうな顔だろう。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」では人間とアンドロイドの違いを、同情の有無で定義している。
人間に同情出来ない彼は、人間以外で、きっと、種族名通り「悪魔」という言葉が相応しい。
読んでいて本当に気分が悪くなる、だがそれがいい。