まおうのてさき

ノータリン

魔王の切り札

 私の名前は「まおうのてさき1」という名の悪魔だ

 手先なのに魔王の白の中で魔王様の側近をしている。


 ある日、魔王様が仰った「このままじゃワシ勇者に討伐されるんじゃね?」

「そんなことは御座いませぬ、間王様のお力を持ってすれば勇者など簡単にs…」

「いーーーやワシは負けるね。だってこれを見てみろよ」と言って先代魔王の生涯を書き記した本を私に見せたその本にはこう書いてあった。


 勇者は旅の途中で急成長を見せて魔王を倒した・魔王が勝利寸前まで言っても謎の光とともに奇跡が起こって敗れた・勇者の父を殺してもその子供や孫が末代までわれわれを根絶やしのしようとして敗れたと敗北の原因が描かれていた


「いや、これは無理だろいきなり急成長とか謎の光とか...うんこれは無理だ」と魔王様が呟く。

「なのでお前に使命を与える。勇者を暗殺してこい」魔王様が厳しい顔つきで言う

「暗殺...ですか?」「そうだ、貴様の変身能力をつけば容易かろう」「し、しかしお言葉ですが、今から勇者の下に行って魔王様じきじきに手を下せば確実なのでは...」ついこう返した

「馬鹿が!お前は何もわかっておらんのか!?この世界では勇者が一度魔王を討伐するまで決して敵に倒されることがない、それが世界の摂理なのだ!魔王討伐後勇者があまりにもあっけなく死んでいるのがその最たる証拠だ。だが、そこが盲点だ勇者が敵と認識したものに倒されることがなくとも貴様が変身し敵と認識されないうちに暗殺する!これがうまくいけば貴様に永劫の命と地位を約束しよう!」魔王様が力強く言う

「分かりました魔王様!このてさき必ずやその使命成し遂げて見せます!」と言って


 私は魔王城を出た


 そして一週間後人間の国王にから勇者にほとんどロクなものも与えられず魔王を討伐せよとの命が下された。


 私は遊びに人に変身して偶然を装って勇者のパーティーに入ったそれと同時期に凄腕の武闘家もパーティーに入った。

 勇者だけならささっと暗殺できるかと思ったが武闘家がいては難しい

 なにせ暗殺だよっぽどでないかぎり一度失敗すればバレるしバレることを恐れて言い訳できるようなやり口でやると失敗する確率が上がる。

 それから勇者御一行は当たり前のように人の家に土足で上がり人の家の壺を割ってゼニーを手に入れたり一般民家宝箱を無理やり開けたりいつの間にか魔法使いやバトルマスターなんかを仲間に加えて冒険は順調に進んでいた。


 マズイ、完璧に暗殺の機会を失った。

 人の目が増えれば増えるほど暗殺は難しくなっていく

 このまま行ってしまうとズルズルと魔王様のところに行ってしまうのは目に見えていた


 だから、勇者を後ろから殺すのは諦めてもう一つの方法に賭けることにした

 他の勇者は知らないがこの勇者は正義感と責任感がとにかく強い幾度として仲間がやられそうになったのを庇ってきた

 他の奴はわざとじゃないから勇者が庇い切れてきたがワザとでかい攻撃を勇者が庇えばやれるはずだと考えた。

 この方法の唯一の欠点は勇者が本当に私を庇うのかこの一点に尽きる

 もし、庇わずに俺が攻撃を受けてしまえば無駄死にの上に魔王様が勇者に勝つという最後の望みもなくなる。


 次の日作戦を実行する

 いつもと同じ様に装い戦いに挑む


 そしてわざとコケる我ながら完璧なタイミングだ。完璧なタイミング敵が攻撃を溜めたタイミングを見計らってある

 敵から攻撃が飛んでくる

 当たれば死ぬ

 死ぬ

 当たる!

 と、思った瞬間に目の前に勇者が飛び出る

 勇者に攻撃が当たる自分の頭上を数メートル勇者が宙を舞うドサアッと後ろから音がする。

 死んだ...のか?


 なんて思っているうちに舞踏家がモンスターを倒し魔法使いが勇者のもとへ駆けつける

 武闘家が振り返って「おい!勇者大丈夫か!」と声を荒げながら近づく

 私もハッとして勇者のもとに駆け付ける

 今、そう今しかないのだ勇者が死にかけで全員が勇者に気が行って背中を向けている今だけ...ドックン...ドックンドックン...心臓が高鳴る

 その時勇者が魔法使いの治癒魔法で意識を取り戻たが、まだ動けるよう容体では到底無い

 そんな状態の勇者が言う「大丈夫か...?」それはほかのだれでもなく私に宛てられた言葉だった


 その時体は動かなかった

 勇者は治癒魔法により無事生還した


 その日の夜私は思った本当にこいつを殺していいのかいや、私に暗殺は不可能じゃないのか...いや、認めるべきだ...私に勇者の暗殺は出来ない


 そして一つの黒い考えが浮かんだ


 勇者御一行は様々な敵にも屈せず戦い続けた


 そして遂に、魔王のもとに辿り着いた。そして魔王との三日三晩の死闘のもとに遂に魔王を下す

 魔王は死の直前にこう言った「お前たちの仲間だと思っていた遊び人h」グシャという音と共に魔王の顔が潰される


 最後に息の根を止めたのは私だった。

 

 これでいいんだ


 そう思った、魔王は討伐に来た勇者に勝つことが出来ない...これはこの世界の摂理

 そうなんだと思い自分の気持ちを整理していた。


 魔王を倒したことによる喜びと安堵と達成感に満ちた勇者の背中を見て決意する


 それからは一瞬の出来事だった

 その背中に刃を突き立て他の奴らの首を跳ねる

 勇者の死と私の裏切りに動揺を隠せないやつらを殺すのは容易かった。


 ......そして私がなるのだ、新しい魔王に次の勇者にこの首が跳ねられるまで

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まおうのてさき ノータリン @bjl

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