第11話

 アイちゃんは、目には見えないモノが、みえるよという。




 たとえば、ボクとマイちゃんと、三人して昼ごはんを食べていると、アイちゃんが、

なにもない虚空くうかんにむかって、おじぎをしていた。




 ボクが

「アイちゃん、なにしてるの?」

と、訊くと彼女は

「うん…、知り合いが、ひさしぶりって、あいさつ、してくれたから、お返事したの…」

と、言った。




「えっ、でもそこに誰もいな…」

と、ボクが背筋を寒くしていると、マイちゃんは

「ああ、まあこの娘と一緒にいると、よくあることだよ。

気にしちゃダメ」

と、言った。

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