弐話*八十面相
俺は寝るのは好きだ。昔っから夢を見る事が多く良い夢もあれば自分にとって悪夢もあった。けれど、起きたらスグに忘れるのが夢だと仮定していた俺が馬鹿らしくなる。あの日見た夢をずっと忘れられない。
あの重苦しい空気や誓いの言葉。まるでそれが現実であるかの様に。アレから2人の頭の上に分からないと言うような事が浮かんでるように見えた。やっぱり俺は夢を見ながら泣いていたのだろう。そう思うと自分に嫌気がさしてくる。
──彼奴の言葉と自分の態度に。
『いきなり泣き出すから起きたのかな〜〜って見たら魘されてるわけでも無くないからさ、爆笑ものだったよぉ?あ〜ぁ、おっかしーなー』
と爆笑し出す腐れ縁の幼なじみの
『煩せぇ……大体、起こせよ、アホ春っ!』
心からそう思った。起こしてさえしてくれれば自分が泣いた姿を見られなくて済んだはずなのに。
『イヤイヤ〜授業中寝ながら泣いてるやつにアホて、言われたくないなぁ?これ以上寝て授業サボってたら点数危ないんじゃないんですかぁ〜?』
と爆笑しながら特徴的な喋り方のこいつは夢の事も何も知らないんだろうなぁ……と思うと力無く笑いが出てくる。
『で、…
今日、実は3人で図書館に行こうと言っていたのだが方向音痴がまだ、来ないからここ、30分ほど、うざったいアホ春との雑談やら論争やらで正直、今から帰りたいくらいだ。
『あ、そう言えば〜…夢ってどんな夢見てた?別にそこまで気になるとかじゃなくてだよ、うん、明日の合コンのネタに出来るかな〜〜とね?』
…一発殴ってやりたくなった。
『いや、別に?…教会で牧師がどうのこうの言ってたのはくっきり覚えてるけどな。また、合コンかよ、よく飽きねぇな?』
『イヤイヤ〜昨日さ、8人目の彼女に振られちゃったんだって、痛かったな〜往復ビンタっ』
『お前が悪いだろ、てか…8人目って…この間は5人目の〜〜とか言ってたくせに?』
『あの子は〜〜女と居るのが嫌だ!とか言い出してさ、面倒だったんだよね〜〜〜』
と変な雑談をしているうちに更に1時間が過ぎていた事は後々気付く…ハズ。
そして夢の事を一瞬忘れるくらいの日常が戻ってきたと思っていた。
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