おやすみ世界

夕霧 夜薙

壱話*始まりの夢

白い城の様な外観の建物の中。牧師が誓いの言葉を投げ掛ける

『健やかなる時も…病める時も…喜びの時も…悲しみの時も…富める時も…貧しい時も…これを愛し…これを敬い…これを慰め…これを助け…命ある限り、?』

教会の空気に飲まれそうになるのを必死に抑えて息を吸った。そして一言…誓いますと言えば終わるこの儀式に何故だか可笑しな気がした。そう…

分からなかった。周りには知らない客人。俺の横には相手が見えなかった。空気が重く歩きにくい服装の為歩けない。どちらかと言われれば鎖に繋がっているかの様。

そして深呼吸をする。

『誓いま…………─────』







ジリリリリリリリリリリリッッ!!

『っ…て!……ってば!』耳許しで鳴り続けるスマホのアラーム音と誰かの声で飛び起きた。

『う、わ………』

喉が掠れ冷や汗まみれで起き上がる。教室の机で寝ていた様だ。目の前には知った顔が一つと二つ。二人目はさておき二人目には嫌悪の感情しか出てこない。

『やぁだね、うん、こっちを疑視してくるなんてさ〜俺は俺だよ?レイちゃんどーした?』

『……糾君大丈夫?…いや、大丈夫じゃないか、お水飲む?あ、貰ったお菓子もあるよ???』

『そんな目で見てねぇよ?…あ〜…要らないと思う。』

そう言うと耳を疑う言葉が俺の耳に入ってきた。

『にしても〜…』

「「何で魘されてる訳でも無いのに泣いてた??」」

『……は??』

俺から力の入ってない言葉が漏れた。

ふと昨日図書館で読んだ一説を思い出した。




夢は自分と繋がっているらしい。だったらあの夢は何だったのか。俺は誰に誓おうとしたのか。こういうものには好奇心が高鳴る

……俺は…遊び半分で不愉快な夢を辿る事にした。

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