第17話 計画実行

ギャルA「誰か! 誰かー!」

ギャルB「このキモいオタクみたいな奴性犯罪者よ! 早く捕まえてー!」

男「ちょ、何言ってんスか? 誤解ですって__がっ!」

部長「オラァ!」バキッ

取り巻き「このクソ野郎が! 死ね!」ドカッ

男「痛っつ……ぶ、部長⁉︎」


アナウンス「〇〇駅ー。〇〇駅でーゴザイェス」


部長「オラッ、こっち来い性犯罪者!」グイ

取り巻き達「みなさーん、道を開けてくださーい! 痴漢です! こいつ痴漢野郎でーす!」

男「冤罪ですよ! 俺、ずっと本を読んでいましたし__」

部長「うるせえ!」バキィ

男「あがっ…」

部長「犯罪者が喋るんじゃねーよ! オラッ!」バキッ!

取り巻き達「ぎゃははははは!」ドゴォ!

ギャルA「きゃー! 部長くんカッコイー!」キャピキャピ

ギャルB「やっちゃえやっちゃえー!」キャピキャピ

男「(あれ、こいつら知り合い……? もしかして俺、嵌められたのか?)」

部長「おらッ、頭ッ、下げろよッ! 痴漢してッ、申し訳ッ、ございませんッ、ってよォッ!」ガン! ガン! ガン! ガン!

取り巻き達「ぎゃははははは! お似合いだぜオタク野郎!」バキッ! ドゴッ!

男「がっ、あっ、…っ」ボタボタ

駅員「ちょっとちょっと! 一体どうしたんですか!」タッタッタ

ギャルA「あ、駅員さん! こいつ痴漢です! 私のお尻触ったんです!」

ギャルB「私も見てました! 死刑にしちゃってくださいよ、こんな奴!」

男「俺は…やってな」

部長「犯罪者が喋るな!」ガン!

男「がっ…」

駅員「……と、とりあえず彼を離してあげなさい! 分かった分かった、一旦彼の身柄を預かるから……」

ギャルA「死刑にしてくださいね! 絶対ですよ!」

部長「俺、部長って言います! 俺が捕まえたんですよ、この薄汚い痴漢野郎を__」


女性「待ってください!」


駅員「はい?」

女性「彼は痴漢なんかしていません。私、彼の前に座っていたんです。間違いありません、これは冤罪ですよ」

男「……?」フラフラ

ギャルA「はぁ〜? 何言っちゃってんのオバサン、キモいんですけどー!」ギャーギャー

ギャルB「そうよそうよ! 何か証拠でもあるってーの⁉︎」キーキー

女性「彼は片手吊革を握り、片手で文庫本を読んでいて両手が塞がっていました。小説の題名は『幸福的な電波のゲーム』。私、その本のことを良く知っていたので、ずっと見ていたんです。間違いありません」

男性「あの、こちらの女性の隣に座っていた者なのですけれど……僕も見ていました。ずっとという訳ではありませんけれど……。少なくとも、彼が痴漢をしていないことは証言できると思います」

女性「何なら一緒に警察に行きましょうか? お巡りさんなら、たとえ貴女達みたいな奴の話でもしっかりと聞いてくれると思いますよ?」

男「…………」ボーゼン

ギャルA「……な、なによ! 紛らわしいんだよオタク!」

ギャルB「行こ行こ! オタクが移っちゃうよ!」


女先輩「待ちたまえ、君たち」

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