ハンターズ ~その魔道師危険につき……3~

NEO

第1話 盗め!!

 旧キリング王国領王立博物館。今や全ての国が1つになったこの惑星「ガイア」では、旧国名などあまり意味がないが、分かりやすいのでよく使われている。それはともかく……。深夜の静けさを打ち破り大音量のアラームが鳴り響く。

「ほら、余計なことするから!!」

 相棒であり、隣を走るアリシアがわめく。

「うるさいわね。やっぱり犯行声明は必要でしょうが!!」

 今は事態を説明している暇がないので掻い摘まんで説明するが、私たちはある物をいただきにこの美術館に侵入した。以上。

「ガードマシン30機接近中!!」

 「探査」の魔法で辺りを探っていた相棒が声を掛けて来た。

 ……ちっ、もう来たか。

 私も「探査」の魔法を使うと、いるわいるわ。私たちの背後に敵を示す赤い点が映し出された。私は虚空に「穴」を開け、中から巨大なバルカン砲を取りだした。超軽量のミスリル合金で作られたそれは、1人でも十分扱える重さだ。

「先に戻っていて!!」

 相棒にお宝を投げて渡し、私はバルカン砲の2脚を立てる。そして、トリガー押し込んだ。ウィーンダラララララとものすごい発射音を上げ、20ミリ魔力弾が猛烈な勢いで吐き出される。

 私たちを追ってきてきていたガードマシンも撃ち返してくるが、そんなもの当たりはしない。あっという間に30機のガードマシンを破壊すると、私はバルカン砲を「穴」に戻して先を急ぐ。すると、空き地に駐めておいた流線型が美しい私たちの船が見えてきた。私は船に飛び込むと、その勢いも消えぬうちに叫んだ。

「アリシア、離陸!!」

「了解!!」

 すでにコックピットに座っていたアリシアが船の乗降口を閉め、私たちの船は軽やかに上昇を開始した。私もコックピットに座ってベルトを締める。操縦はアリシアの担当だ。

「ふぅ、何とかなったわね……」

 私は息を整えながらアリシアに言う。

「あなたが悪いと思うけど。『セシル&アリシア参上』とか書いた無駄にでっかいプレート置くから、重量センサーに引っかかっちゃったと思うんだけど……」

 隣でジト目で言うアリシア。まあ、そんな気もするけど忘れた。

「じゃあ、あのジジイのところに行くわよ」

 アリシアはため息交じりにうなずいた。

「はいはい」

 私たちの船は適当な高度で急速に速度を上げ、宇宙空間へと飛び出した。魔法が支配していた時代からこの百数十年の魔道機の進歩は目覚ましく、今や宇宙に行くのは当たり前になっている。異星人といつ戦争になるか分からず、狭い星で争っていても意味がないということで全ての人間が生まれた星「ガイア」では、「ガイア連邦」という名で1つの国にまとまってしまった。

 そして、私たちは今宇宙空間にいる。目的地はそう遠くない。

「転移速航行準備」

 舵を握るアリシアが、長い髪の毛をさっと手で透いて言った。

「了解」

 そして、私たちの船はその場から消え去ったのだった。

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