田夫野人
作戦区域に到達したミツバチ隊はビー・ハイヴから降下を行う直前の状態になっていた。
「M2は真っすぐサンクチュアリを目指して進行している。まず私が出る。続いてカガミ、レツだ。ガロッシュはサンクチュアリの最終防壁として、ポイント付近までビー・バイヴで待機」
「了解」
ガロッシュのインフェルノはかなり鈍重なLDであるため、ヘリで上空からギリギリまで待機させ防衛対象のサンクチュアリ付近で降下する。
最も機動性に優れている隊長機のスティンガーができる限りM2を引っ掻き回して殲滅を狙うのが作戦だ。
「どういう動きなんだ? M2なんだろ」
カガミは最初からずっと引っかかっていた疑問をタバサに訊ねた。
M2、つまりミュータント2号はモグラだ。つまり言ってしまえばケモノなのだ。そんな野獣の群れが狙うものは食料のはずだが、サンクチュアリと呼称されるこのポイントにはクレーターと、それを保護管理しているフェニレクの施設しかない。
M2が襲うのならば、もっと他にいい餌場があるように思えたが、このM2の集団は明確な意思をもってサンクチュアリを目指し真っすぐ進軍しているようだ。
「サンクチュアリは、ミュータントを引き寄せる何かがあるらしい。ここは定期的にアボミネーションの襲撃を受けているんだ」
「なんでです?」
「さあ? 出るぞ!」
カガミの質問にほとんどいい加減な対応をして、タバサは高らかに叫んだ。ビー・バイヴから飛び降りるゼブラのLDは一切の躊躇なく、華麗に空を舞い降りてバックパックのスラスターを吹かして見事な着地を決めた。
「ダンナは知ってるのか」
「ダンナと呼ぶな。オレはお前より年下だ」
カガミがガロッシュに問うが、ガロッシュは憮然とした声を出してカガミの質問には答えなかった。
「あとで話そうぜ、大将」
「大将もやめろ」
「筋肉だるまよりマシだろ……デュビアス・ソウル、行くぞ!」
ガロッシュが何かを言い出す前に、カガミは逃げるようにビー・ハイヴから飛び出したのだった。
別にからかうようなつもりでカガミはこんな事を言ったわけではない。どうもガロッシュの様子が緊張しているようだったから和ませてやろうと軽口を叩いてやったのだ。
事実、ガロッシュは今回の任務に対して不必要なまでに身構えているところはあったのだ。
「プラスミド反応は二十を超えているぜ」
「……良く捕らえられるな、こっちじゃまるで感知できない」
レツの報告にガロッシュは低い声で感心を示した。だが、どこかその返事も上の空なところがあった。
「まぁ、二十くらいならオレらだけで潰せるっしょ」
「一匹とてサンクチュアリには近づけさせん」
「そういう物言いをするのが、ガロッシュだよな。ミニガンで援護頼むぜ」
「分かっている。行け」
ビー・バイブに装備されているミニガンは上空から制圧射撃を行えるため、ガロッシュは効果するまでビー・ハイブから援護射撃を行う手筈になっている。
レツの不慣れな気遣いに、ガロッシュは少しばかり硬直しかけていた思考を和らげることができた。
「やるぜラタトスク! パルス展開、ヒョォォォォッ!」
まるでスカイダイビングを愉しむように奇声を上げながら、電磁パルスを放出し、蒼のラタトスクはヘリから落ちていく。身軽なのか、アクロバティックに空中で一回転してみせてから、バックパックスラスターを吹かして軽やかに着地すると、もう戦場になっていた前方の荒野に向かい身構えた。
前方の荒野には、パルスで確認する限り二十三匹のモグラが迫ってきていて、その一匹一匹を、スティンガーとデュビアス・ソウルが処理していた。
モグラのミュータントはその巨大な前足の爪と、げっ歯類特有の前歯で対象を切り裂く。
LDの装甲をも裂き、人肉をえぐる鋭い武器だ。動きも早く地中から出てきてもその動きが鈍ることなどない。また毛が非常に硬く、生半可な銃撃を受けても物ともせずに襲い掛かってくる。
スティンガーはマシンガンで牽制をしながら、懐に飛び込んできたモグラに、カウンターでパイルバンカーを撃ち込んでいた。
どずん、と肉を貫き、M2は絶命するが、すぐさま別のM2が飛び掛かってくる。スティンガーはその機動性でLDを軽やかに躍らせて回避行動をとる。
デュビアス・ソウルも、M2戦は慣れているのか、飛び掛かってくるモグラの口内にアサルトライフルの銃口を突っ込んで、ドガガガッ! と鉛玉を喰わせていた。
「パルス信号の共鳴確認。僚機ラタトスクのパルスにより、敵の反応を鋭敏に感じ取れます」
「なるほど、大した電子能力だ」
どうやらラタトスクは、重火器よりも電子機器のスキルが長けているようだった。デュビアス・ソウルが張るパルスよりも更に格上の効果が共鳴効果で仲間にも発生し、スティンガー、デュビアスは索敵能力が大幅にあがっていた。
「おっさん、何匹殺した?」
「3」
「よし、今日こそ意趣返しさせてもらうぜ」
前回の演習で負けた事をこだわっているのか、レツはカガミの撃退数よりも上を行っやると宣言し、迫るモグラ軍団に攻撃を開始した。
「プラスミド感知、索敵、オートリアクション」
カガミは一瞬、ラタトスクが何をするのか理解できなかった。
青いLDは腰につけていた六つのボールのうち二つを、右手と左手でひとつづつ取り、そのまま前傾姿勢でボールを地面に押し付けるようにしたのだ。
「行け、エス・ミーネ!」
レツの指令と共に、両手のボールが地面に潜り込んだ。それこそ、まさに今相手にしているモグラのように、ボールが勝手に地面に潜り込んで、モリモリと地中を自動的に動き出したのである。
「エスミーネ……。S=マインか!」
S=マインは跳躍地雷だ。地中に埋めらた地雷は、敵を感知すると、最初の爆発で地面から地表に一~二メートルほど飛びあがる。そしてそこで第二の爆発が起こり、広範囲に打撃を与える事ができる兵器だ。
だが、この地雷はなんと、敵のプラスミドを感知して、自動制御で敵に向かって掘り進んでいるのだ。
ラタトスクの手から離れたボールの自動追尾爆弾は、敵の群れに向かって突き進み、M2もその危険さを感じ取ったか慌てて地中から飛び出して来た。だが、そこにまさに、エス・ミーネが地中から飛び出して、爆裂した。
ズバババ――ッ!!
爆散した地雷から爆薬が弾け、餌食となったM2は肉体を粉々に吹き飛ばされてしまう。同時に、もう一発のマインも敵を捕らえ、なんとこちらは地中と地表の両方のM2を同時に撃破していた。
一瞬にしてラタトスクは、三匹のM2をしとめたのだ。
「よし、タイだぜ」
「ち、ずりぃだろソレは」
「来るぞ、十匹!」
次なるウェーブがやって来た。プラスミド反応が次々と増えていき、まさにモグラの群れがサンクチュアリへ向かって突撃しているのだと身をもって実感する。
三体のLDが敵の増援に身構えた時、上空のビー・バイヴからのミニガンによる雨が降り注いだ。
それにより、M2の第二陣は隊列を崩されて、数匹だけが攻撃を回避できてスティンガーに牙をむいてくる。
上空からのガロッシュの支援だ。
(なるほど、伊達に特務隊ではないな)
カガミはそれぞれの実力を目の当たりにして、前回の演習などは所詮ウォーミングアップでしかないのだと理解した。
ガロッシュも、レツも十分な実力をもった働きバチなのだと分かる。そして隊長のタバサも女性とは思えぬ最前線での悪鬼羅刹とも思える戦いを見せるのだ。
「プラスミド検知」
順調に戦場を制圧できていると思えた時だった。
ミラの報告に、さらなる増援かとカガミは「やれやれ」とため息をつきかけた。だが、その増援の出現した方角に驚いた。
「西エリア、九時方向。数多数」
「真逆!? M2が伏兵を用意したのか!」
「ガロッシュ!!」
カガミ達が戦場にしていた東エリアの真逆に更に二十のM2が出現して、サンクチュアリに向かって迫ってきていた。
ガロッシュはビー・バイヴのパイロットに西側エリアへと向けてもらったのち、ミニガンをモグラの増援部隊に向かって撃ち込むが、モグラも地中に潜ってそれを回避する。ミニガンだけでは捌ききれなかったガロッシュは、カガミやタバサらの残る東エリアから離れ、単身、西エリアでビー・ハイヴから降下したのだった。
「うおおおっ! 一匹たりとてッ!」
M2がサンクチュアリへと向かう動線上にインフェルノ・シャウトは地響きを鳴らして着地した。
「カガミ! こっちは私とレツで処理する! お前はガロッシュの援護に行け!」
「アイマム」
デュビアス・ソウルは全力のスプリントで西エリアへと駆け出した。
モグラは思った以上にすばしっこい。インフェルノ・シャウトは鈍重なLDであるから、場合によっては素早さで翻弄され、防壁を抜けられてしまうかもしれない。サンクチュアリの内部はユグドラシルを生んだ貴重な土が保存されているのだから、このような醜悪なモグラに荒らさせるわけにはいかないのだ。
カガミは一心不乱にデュビアスを疾走させる――。
「ガロッシュ! 今行くぞ!!」
「いらァん! この程度、オレ独りで十分よッ!!」
通信からガロッシュの猛りが響く。カガミ達がいた東エリアから、西エリアに行くまでには距離がある。
ガロッシュは上空から西エリアを目がけて降下したため、孤軍奮闘を強いられている状況なのだ。ガロッシュは援護を不要と言うが、多勢に無勢と思えた。
「ミラ、西エリアのプラスミドはいくつだ!」
「M2は二十。LD一体で対処するには厳しい状況です」
「地形は活かせないか? うまく誘い込んで包囲されない場所を選べば……」
カガミはマップを網膜に表示させ、利用できそうな地形を捜すが、守りに入れそうな場所は、サンクチュアリの入口しかなかった。
「ガロッシュ! 一度、後退してサンクチュアリの防壁前で叩け!」
「ことわぁるッ!」
しかし、インフェルノ・シャウトはむしろ、進撃してくるM2の群れに向かって突撃を開始した。
その猛りはまさに、地獄の叫びという名に相応しいものであり、左手でサブマシンガンを乱射しながら右には巨大なサーベルを構えて躍り出たのである。
「独りでは無理だ!」
「独りではな!!」
「――!?」
刹那、インフェルノ・シャウトのバックパックが切り離された。それはそのまま背部スラスターを吹きながら、放物線を描いてM2の群れの中心に向かって落ちてゆく。
「ミラ! どうなってる!?」
「インフェルノ・シャウトのバックパックがパージ。敵陣に向かい飛来し……変形しました」
カガミの位置からはどうなっているのかは判別がつかない。だが、ミラの情報によれば、インフェルノ・シャウトのバックパックが変形したのだと言う。
「ふぁっはっはっは! 行かせはせん! サンクチュアリを汚させるものかァ!!」
インフェルノ・シャウトからパージされたバックパックは、なんとその箱型の形状から変形し、セントリータレットになったのだった。
M2の真っただ中に飛来した回転式銃座がアボミネーションを感知して、すぐさま火を噴き始めると、M2の群れは一気に慌てふためき、一匹、二匹と銃撃に倒れる。
これにより二十いたM2の群れが二つに分かれ、十体がタレットに群がり、残りはインフェルノ・シャウトに突撃を続ける形になった。
ガロッシュはタレットを無視して突っ込んでくるモグラのミュータントに出合い頭のマシンガンを喰わらせると、凶悪なアゴを鋭く飛び掛かってきた一匹に向かってサーベルを叩きこんで見せた。
ザビュルッ!!
肉を切り裂く手ごたえと、ドス黒い血が噴きあがり、M2は頭部を一刀両断されていた。
「GYYYYY!!」
獰猛な鳴き声を上げるM2達は仲間が殺された事で、一斉にガロッシュに飛び掛かっていく。しかし、巨体であるインフェルノは一匹の殺人モグラの爪を左脚の装甲で受ける。そこは多少の銃撃は弾き飛ばす程のシールド強度を持っている。
シールドに爪を弾かれたM2は、そのままガロッシュの蹴りで潰されて絶命した。
また他に飛び掛かって来たM2も、サーベルを横薙ぎに捌き、飛び掛かって来たことで柔らかい腹部を見せたモグラにマシンガンを的確に撃ち込んでいく。
「ぬおおおおおっ!!」
鬼神の猛りが響き、地獄の叫びが戦場に血の雨を降らせる――。その戦い方はまさに『無双』。並みいる雑魚を蹴散らす、巨漢らしいほれぼれする程の闘争っぷりである。
ザクザクとサーベルで切り倒し、サブマシンガンでミンチにするガロッシュは、自分の命すら投げ捨てる勢いの羅刹であった。
――だが、ついに前方に放り投げたセントリータレットが、M2の攻撃により粉砕され沈黙した。
そして、うち漏らしたM2がいよいよ孤立しているガロッシュに対して襲い掛かっていく。その数は残り八匹。ガロッシュはそれらに対して奮闘する――。
しかし、M2もバカではない。
あの闘将を仕留めるには、ただ我武者羅にぶつかっても返り討ちにあうと考えたのだ。
そして、M2は散開し時間差攻撃を仕掛ける……。
「くたばれ! ユグドラシルを汚すものは全て消えろッ!」
インフェルノ・シャウトの装甲は度重なる攻撃により、損傷が激しくなっていく。ガロッシュは吹き出るアドレナリンに全てを任せ、戦っていたが、すでにダメージコントロールも限界の状態で、ガロッシュは両腕から流血もしていた。
装甲の弱い処を切り裂かれ、インナーにもダメージを受けたのだ。徐々に、その狙いと攻撃力がダメージにより低下していく。その隙を狙い、モグラのミュータントは、ついに止めの一撃を決めるべく、インフェルノ・シャウトの背後を突いた。
バックパックをパージしたインフェルノ・シャウトはまさに背後が弱点だった。
疲弊したガロッシュが、背後のプラスミド反応に気が付くことを遅れてしまったのは、その刺客が地中から迫って来たというのも理由の一つだろう。
ボコッ!!
地面が隆起し、そこから巨大なモグラのM2が飛び出して来た。M2は大きさにして一メートルを超える。獰猛な狩猟犬以上の体躯をしているのだ。いくらインフェルノ・シャウトが大型LDとは言え、装甲値の低下した背中を切り裂かれては、致命傷は免れない――。
「!!」
ガロッシュは背後の殺気にほとんど反射的に右手のサーベルを振り向く様に向けたが、右手側からもう一匹のM2がそのサーベルを持つ手に向かって噛みついて来た。
そのほんの一瞬が、ガロッシュの生死を分けるものだった。
(死ぬ――)
ガロッシュはそう思った。
別にその瞬間、死ぬことに関して特に何も思わなかった。死に恐怖をもっていなかったからだ。
この世界に生きるものは、理不尽に死ぬことが当たり前だからだ。
噛みつかれた右手に力が入らない。サーベルが指先からすり抜けていく――これを落としたら、もう敵を潰せないとわかっているのに。
背後に迫るキバ――あれで食い殺されるのか。そんな風に刹那が永遠にも思えるほどだった。
ガロッシュは死を覚悟したその時。
背後から飛び掛かって来たM2が空中で蜂の巣になった。
高速の銃撃を横っ腹に受けた襲撃者は、そのまま吹っ飛ばされて絶命した。
「デュビアスの……!」
「おおおおっ」
カガミが間一髪、間に合った。デュビアス・ソウルのアサルトライフルが、見事にガロッシュの背後を狙ったM2を貫いたのだ。
全力疾走のまま撃ったであろうアサルトライフルにも関わらず、クリティカルヒットともいうべき見事なエイムで急所を撃ち貫いていたのだ。
デュビアス・ソウルは左手にフレイム・ソード、通称ヤキトリを装備させ火炎の刃を閃かせ、そのままインフェルノ・シャウトの右手に食らいついているM2を切断する。
正面、ラスト一匹だったM2が首を取りに飛び掛かってきていた。
ガロッシュは、奇妙なほどに冷静になっている自分を感じながら、まるでスローモーションのように襲い掛かってくる最後のM2の頭部に狙いを定め、引き金を引いた――。
――――作戦終了。
サンクチュアリ内部にてミツバチ隊の面々はLDを脱ぎ、ダメージチェックを行っていた。
「ガロッシュ、腕は大丈夫なのか」
出血していたガロッシュが医務室から出て、LDロッカーに戻って来たのを見るなり、タバサが気遣った。
「はい。なんてことはありません」
西エリアも、東エリアもサンクチュアリ防衛の任務はどうにか勝利を収める事ができた。結局大きなダメージを負ったのはガロッシュのみで、事なきを得た。
「……借りができたな」
「へえ、そういう事を気にするタイプなのか、大将」
「大将は辞めろと言ったぞ」
デュビアス・ソウルのダメージチェックをしていたカガミに、ガロッシュは近づき、礼を述べた。だが、カガミは飄々とその礼の言葉を笑うように返した。
「なんであそこまでムキになったんだ」
カガミは、借りができたなら、今返せと言わんばかりに、ガロッシュの暴走気味とも思える今回の心境を聞き出そうした。
「……サンクチュアリは、ユグドラシルの故郷だからな」
キズが痛むのか、ガロッシュは難しそうな表情を浮かべて、少々赤らんだ顔をして答えた。
「お前さんが、ユグドラシルの最初の発見者なんだって?」
「ああ。……あれは……可憐だった……」
「……え、あ、おう……。まぁ確かに」
ガロッシュの口から出たとは思えない言葉に、カガミは思わず口をぽっかり空けてマヌケな顔をしてしまった。
「……恋をしたと言ったら笑うか」
「……いや、笑いを通り越して、こういう顔になる」
ガロッシュは赤い顔をして低く、隣にいるものにしか聞こえないようなトーンで語った。
「オレは……ユグドラシルに一目ぼれしたんだ。そのユグドラシルの故郷であるサンクチュアリはまさに聖域だ……アボミネーションに汚されたくはない。どうしても、ここの防衛任務に就くときは、気持ちがざわつくんだ」
巨漢の筋肉だるまからは想像もできないようなギャップある回答だった。
それがこの男の戦う理由だというのが、冗談のようにも思える。しかし、この不器用そうな男が冗談を言う事などできないと分析するのが適切だろう。
ガロッシュという男は、その言葉通り、あのたった一輪の儚げな花に、恋い焦がれたのだ。
「誰が何と言おうと、オレはユグドラシルのために戦う」
「その気持ちは同じだ」
カガミはガロッシュに頷き返した。
あのジャングルで育った野生児の映画の主人公の名前も思い出せないカガミだったが、ジャングルの緑は今も鮮明に思いだせるからだ。
だからこそ、カガミはガロッシュに対して仲間として共感できるとも感じ取れた。
トリガーハッピーの大男とて、恋に落ちることもある。こんな自分にも、愛する家族がいたくらいなのだから。
(そういうんだよな、ミラ――)
カガミはデュビアス・ソウルに掌を当て、祈る――。はっきりしない魂魄をさぐるように……。
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