恋人がサンタクロース

春田康吏

前編

-「大丈夫だよ、私がいるから。」

  彼女は、いつも僕に勇気を与えてくれた。-


二年前の冬、僕の人生はそれまでとは全く別のものに変わってしまった。

交通事故・・・。相手側の完全な不注意だった。

結果的に命は取りとめたものの事故直後、一週間は意識がなかったらしい。

意識が戻ってホッとしたのも束の間、懸命な治療やリハビリの甲斐も虚しく、

僕は下半身不随と言う後遺症を患ってしまった。

心の中に不安とショックと言う言葉がグルグルと回った。


大学一年だった僕は、もう大学をやめるものだと思っていたが、

まだ勉強したかったのと周囲の続けろよ。という声もあり、

また大学側も車イスでの通学・キャンパス内での移動を快諾してくれたので続ける事にした。

しかし、今まで出来ていた事が出来なくなると言うのはストレスがたまり、

みじめな気持ちにどんどんなっていった。

入っていたスポーツ系のサークルも所属する意味がなくなったのでやめた。

「おい、中里!そう、暗くなるなよ。」・・・よく学食を一人で食べてると、男友達にそう言われた。

性格だけは昔のままでいってるつもりだったが、周りから見れば変わってしまったのかもしれない。


このままではいけないのかな。と思った。勉強以外の何か・・・。

サークルの一覧を改めて見てみた。

自分に出来そうなものはなかなか見つからなかった。

かと言って、出来そうなものとなるとオタク系のものばかりで興味も無いし入っていく自信もない。

そんな時、ふとあるサークルの名前が目に止まった。


「障害学生ボランティアサークル」


これが、彼女に初めて出会った時である。

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