宿命の改造GNEXT~生き地獄を乗り越えて~

Turbo-Duo

第1話 強迫神経症

          手洗い

ジャージャーッ

ゴシゴシゴシゴシ…。

 彼はひたすら洗っている。かれこれ30分は過ぎただろうか…。

 彼は手を洗っていた。

 それもただ手を洗うだけでない。

 手を綺麗にするために、蛇口も洗っていたのである。

 手↔蛇口を何度も繰り返して洗うのである。

 キュッキュッ!

 ようやく気が済んだ用である。


           入浴

 手を洗うだけで30分かかる彼が入浴にかかる時間は2時間…。

 しかも、お湯を流しっぱなしなのだから、その量は半端ないものである。

 月に数万円はかかっていたそうだ。もちろん彼にそんな弁済能力はない。


           強迫神経症

 彼は強迫神経症という精神疾患だったのだ。

洗浄行為に多大な時間をかける彼は働いていない。いわゆるニートだ。

 一日の生活が兎に角、洗浄で支配されていたのである。

 

 さらに不味いことに、彼は物を無水アルコールで消毒するクセがついていた。

 いつまでもニートでいられないと、無謀にも税理士の勉強を始めたのは良いが、

彼は購入した本を何度もアルコールで消毒するのである。

 当然、本はボロボロになってしまう。

 それに、本を読もうにも、彼は強迫神経症。

確認行為に追われ、遅々として先に進まない。

 

           通院

 彼もただ家で籠っていたわけではない。

 見かねた両親が大学卒業後一年経過した頃に、通院されることにしたのである。

 しかし、彼は運が悪かった。

 彼を担当した医者の見当違いな治療で、

彼の病状は前述のように酷くなってしまったのである。

 一体どんな治療をしてくれたのかというと、二週間に一回通院して、

担当の医者に現状報告をするだけなのである。

 しかも、二年近く見当違いな治療を続けたのであるが、

両親も流石に不信に思うようになり、彼は両親と医者の板挟みに陥り、

とうとう通院を辞めてしまった。

 彼は一体どうなってしまうのだろうか…。

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