エーテルの世界 ~とりあえずイチャラブチュッチュしながら摩訶不思議アドベンチャー~

Navajo

まさかの展開

第1話 始まり

ep.1-1 April / 21 / 2016




 キュィィィィィィィィィィィ!!!


 ギュイィィィィィーーーーーン!!



 話の冒頭から申し訳ないが、なんかヤバいンだ。


 ちょっと落ち着いて聞いてくれ。


 今、目の前で、明らかに丸いノコギリとドリルっぽいのがすンごいスピードで回転してて、なんか触手っぽい手がいっぱい生えた宇宙服を着た奴がすぐ側に立ってるんだよ!?



 「わーーーはっはっはっはっはっは!!! 起きたか!? 時間通りだ!!

どうだ言葉は通じてるか!? まぁ、通じてなくてもやることはやるから安心しなさい!!」


 「!!!!!!※※◆!!!??!!!ッツッツッン!!!」



 叫ぼうとしたが猿ぐつわみたいな物が口に押し込められて喋れない。


 なん何だこりゃ!?

 ここ何処だよ!!??

 アルミみたいな金ピカな台と、白い壁。それと気味の悪い緑色のランプがあちこちで点滅してる。

 病院のように見えなくも無いが、明らかに医者には見えないニュルニュル触手の宇宙服野郎が目の前に立ってる。

 しかも、なんだか体に全然力が入らない。手足の感覚もない。


 これはどうなってるんだ!?



 「あ〜。騒がなくて良いよ。脳神経の調整はして痛覚は切ってあるから痛くなんか無いよ」



 いや、知らないよ!! 勝手なことするなよ!!

 ドッキリカメラか!? 素人にこんなことしないでくれよ!!



 「うーん、脳の思考部分の活動が他の生命体とまるで違う。いい感じだ。そのまま〜そのまま〜」



 なにこれ!!!?? 


 え!? 


 ちょっ! 



 ま!! まってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 俺の名前は斉藤翔太。21歳。

 都内の普通のホテルに就職し、配属先のレストランでウェイターをしている会社員。


 入社して二年目。洗い場のスチュアードからバスボーイ。そしてやっとウェイターにこの春なった。

 給料は安いが、下っ端だからしょうがない。


 ディナータイムが終わり、夜勤への引き継ぎを済ませてからの帰宅途中。

 今晩は肌寒いので、いつものZEIYUで焼酎を買い、お湯割りで飲む事を考えていた。


 俺のアパートはボロくて家賃が安く、お寺のお墓の裏手にある。人通りも少ない。

 幽霊なんか信じていないから怖くなんかなかった。もとい、静かで気に入ってた。


 確かその時だ。暗い夜道の路上で突然、蛍光灯がついたようにパッと明るくなった。


 上を見たら、確かに蛍光灯があったんだ。


 空の上に。


 白くて。

 

 丸いのが。


 でっかく。



 あれ?

 気が付いたらベッドに寝ていた。


 周囲は真っ白だ。壁も天井も白い。正直不気味だ。とてつもなく無機質な部屋だ。


 さっきまでのあれは夢だったのだろうか? 今もまだ夢ならすぐに覚めてほしい。

 体はなんとなく気怠い気もするが、頭は妙に冴えている気がする。


「あのぉ…、…すいませーん!」


 シーン…


 思わず声を出してみたが反応がない。


 一瞬、やはり病院かと考えたがナースコールが見当たらない。

 何より直前の記憶では宇宙服の男がドリルを回していたから絶対に違うと考え直した。


 そうだ!!俺の体は!!


 全身をくまなく見てみる。傷は無いし、手足の感覚はあるし、抓ったら痛い。

 頭を触ってもなんともない。

 

 鏡が欲しい。


 周りを見渡すと部屋の角に窓が見えたので駆け寄る。

 

 すると真っ暗な夜空に自分の顔が写った。怪我はどこにもない。


 でもその顔は、口を馬鹿みたいに開けて放心していた。


 だってお外に地球が見えるんだもん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る