天使と悪魔貴方の来世は?
すずめ
第1話 死神
暖かい日差しを浴び心地よい眠りについていた。
バンっ。強い衝撃が頭に、なり響く。
「ったぁーい!!」
思わず、叫んでしまった。
「何がったぁーい!ですか、完全に遅刻ですよ。せ・ん・ぱ・い!」
私に、怒をぶつけてくる彼女は私の後輩の渚(なぎさ)である。渚が、遅刻と言った言葉に今更寒気がした。
「な、渚わ、私って遅刻ってまさか。」
目覚めて早々震え混じりで、聞いた。渚は、キョトンとした表情をして、しばらくしてからニヤリと笑った。
「そうですよ。先輩、女王様が先輩が遅刻して契約の件は無かったことになりましたよ。」
勿論、渚は直ぐにでも"嘘に決まってるじゃありませんか、先輩w"と言うつもりだった。
「嘘にきまってるじゃ.........先輩?」
応答が、無い先輩の方を向いた。
「せ、先輩?」
先輩の瞳は、反射して少しでも瞼を下げれば涙が1滴また、1滴と流れてきそうだった。
「ご、ごめ_______。」
「嘘だよw」
は?? 困惑した。先輩は、目薬を持ってケラケラと笑っていた。一気に、立場が逆転してしまった。
そして、色々と台無しにされたような気分。どちらにせよ、先輩とやろうとしていたことは同じだったことは確かだ。
「冗談ですよ。先輩、これ例の契約書のファイルです。」
「やったー。有難う渚!!」
ファイルを手渡すと先輩は、飛び跳ねるように舞い上がっていた。私も何だかいって先輩に甘いな。
私の名前は、華(はな)。天界から、人間の善悪の決め手となる行動をよく観察している。簡単に、説明すれば天使だ。私は、天使の中では先輩として扱われている。なんせ私は、3年以上も天界にいるから。
「今日は、ついに独断の契約が結べる。」
今までは、ずっと後輩の転生を見ることしか出来なかった。それが、ついに叶う。私の転生が叶う!心の中で、何度も叫んだ。声にだしたら、叶わないと思ったから。
「先輩、もう行く時間ですか?」
からかい気味に、渚が聞いてきた。
「うん!」
しばらく、広い空を飛んでいなかった。天界に、居るばかりでろくに翼を広げていなかったから翼が空を飛びたいとせがんでいるようだった。
「いってきまぁーす!」
覚悟を決めたときには、もう身体が先に動いていた。
「全く、先輩たら...挨拶の前に先に身体が動いてますよ。」
106号室。
「おはよう。華月。」
広い病室に、カーテンで1人分の囲いを作った空間に、片手で人が1人通れるくらいの空間を潜って御見舞に来た母さんがいた。
「おはよう。母さん。」
挨拶を交わすと、母さんは僕の好きなプリンや梨などのお見上げを持ってきてくれた。
「華月。今日は、何を食べたい?」
膝に、手を当てて僕と同じ目線で言った。
「梨。」
「分かった。」
母さんは、僕のベットの近くに有る椅子に深く座りシャクシャクと梨の皮を切って、一口サイズにして僕に食べさせてくれた。
「美味しい、有難う母さん。」
「良かった。」
母さんは、そう言うと顔をしわくちゃにして笑った。僕もつられて笑った。
"コンコン"
病室の扉から、ノックの音がして
「小島 優花さん。少しお時間宜しいですか?」
「わかりました。華月、ちょっと席を外すわね。」
母さんは、ゆっくり歩いて病室から出ていった。
僕の名前は、小島 華月。3年前に、交通事故にあいずっと入院している。
僕は、大きなため息をついた。
「僕......死ぬ............のかな?」
3年以上も入院していれば、誰だって予想しそうなことだ。
「うん。死ぬよ。」
「やっぱかー、明日にでも死ぬ?」
「そんな直ぐには、死ねないよ。」
また、大きなため息をついてふと我に戻った。 後ろを見渡すと僕以外誰も居なかった。あ.........??
「こっちこっちぃ~!」
呼ばれる方向に、窓のほうをみた。勿論、誰も居ない。病室の中も見渡しても誰も居ない。好奇心で、窓のしたを覗きこんだ。平日ということあって人は、少ない。僕の視点から見える人間は、細かくなっていた。
「残念。そっちじゃなかったよ。」
病室から外を見下ろしていた視界に、当然金髪の女性が覗きこんできた。
それから、大きな翼を羽ばたかせながら僕の病室に、入ってきた。
「初めまして、契約者小島 華月さん。」
天使と悪魔貴方の来世は? すずめ @Rice_rice_tutsu
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