《第82話》Happy Halloween #仕込み編
アラームが朝7時を知らせる。
今日の朝もやはり寒い。
莉子は毛布を引きずりながらリビングまで移動すると、白湯を作りゆっくりと飲み込んだ。
今日はハロウィンの日だ!
この日のための料理の仕込み、さらに段取りは頭の中で整理してある。はず。
飲み終わったと同時に席を立ち、いつもの仕事着に着替えると食品庫へと向かっていく。
昨日の残りの固いパンをかじりながら、食材のピックアップを始めた。
本日のメニューは、
・定番 パンプキンスープ
・野菜たっぷり豆サラダ
・ゾンビピザ
・ゾンビラザニア
・血みどろ唐揚げ
・おばけカナッペ
・針山フライドポテト
・脳みそカップケーキ
ドリンクメニューは、
・サングリア
・ハウスワイン赤・白
・ウィスキー
・ビール(瓶)
・オレンジジュース
・ジンジャーエール(瓶)
・コーラ(瓶)
となっている。
飲み物はギリギリで間に合うので、今すべきことはピザの準備である。
強力粉を準備し、ドライイースト、砂糖、ぬるま湯、オリーブオイルを入れてこねていき、生地が柔らかくまとまったら発酵させておく。ピザソースは在庫のミートソースで代用することにする。
ちなみにゾンビと名のつくものは、肌色じみたウィンナーに切り込みを入れ、爪と関節に似せた部位をつくり差し込むという、簡単だが意外とグロい仕上がりなるトッピングである。
二つのメニューで使うウィンナーの切り込みも終わり、ラザニアのホワイトソース、ミートソースも問題ない。
次にとりかかるのはパンプキンスープにしようか。
そう思い、カボチャを丸ごと用意してみるが、
「何人分作るのが正解なんでしょうか……」
言いながらも親の仇のように皮をそぎ落とし、小さめに切り刻んでいく。それを電子レンジにかけ、柔らかくしている間、玉ねぎのみじん切りをバターで炒め、透き通ったところでミキサーにかける。
カボチャも同じくミキサーにかけ、それらをコンソメと牛乳と一緒に鍋にいれて温めれば完成。
手がかかるようだが意外と簡単。これはまた直前で温めればいいので、放置。
唐揚げはいつも通りに下味をつけておく。揚げおわったあとに、ケチャップソースを血液のように撒き散らせば完成だ。
おばけカナッペは、おばけの顔にくりぬいたチーズや海苔で絵を描けばいいので、パーツだけつくっておこう。
……とやってみると、意外とカナッペのパーツに時間がかかってしまった。
もうお昼を過ぎているではないか。
「一旦休憩しよ」
あと作るものとすると、脳みそカップケーキぐらいだろうか。
カップケーキは市販で代用。
その上にピンクのクリームで脳みそのようにウニウニっとクリームを絞り出せば完成である。
「意外と時間かかるなぁ……
自分の衣装着替えるのもあるから、20時頃に完成目標にしておいて、
あったかい系はオーブンにぶち込んでおこう」
言いながらアラームをセットし、タイミングよく動けるように準備を整えていく。
何事も初めてのものは時間がかかるものだ。
手際よく動こうとも、どれかに時間が取られるもの。
「今日はどれぐらいのお客さんがくるかなぁ。
余ったら明日のメニューに切り替えればいいから、足りないものがないようにしないと」
再度確認をしながら、作業を進めていく。
だが莉子の頬は緩みっぱなしだ。
なぜなら昨日の連藤の格好を思い出していたからだ。
「……素敵すぎるわ…」
目の保養以外の何物でもないようだ。
莉子のモチベーションはどこまで持つのか!?
次回、パーティ編!!
ハロウィンの夜は、何かが起こるぞ!!!!
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