荒廃捜査官
ノータリン
温厚なテロリスト
俺はちょっと変わった仕事をしている。
大雑把に説明すればすごい!刑事って感じだ
今は2999年もう3000年になろうとしている世の中
そんな世の中では人体の機械化が進み、人類の最大の関門であった寿命に対しても体を機械化することにより逃れられるようにすらなった時代
今最も長生きしてるので何歳だっけか確か700歳後半だったな。と行きつけの店でコーヒーを飲んで新聞を読みながら思う。このご時世でも紙の新聞を置いてくれてる店なんてほかに俺は知らない新聞には大きく「自然の摂理に逆らう物の居ない社会を」と血で書かれた文字が映されている。機械化した富豪がまた一人ころされたらしい
最近活発になっているテログループの売り文句だ。人間が機械化することによって神の作った自然の摂理とやらに反するのは良くないと言いたいらしいが実際金持ちを殺すために傭兵達に金を流して機械化手術を受けさせてそいつらに襲撃させてるわけだから元も子もない話だなと思いながらコーヒーを流し込む。
その時「♪~♪♪~」携帯が鳴る「もしもし」「仕事だお前の居る喫茶から数キロのところにある教会で事件が起こった」「位置情報切ってなかったっけ?」「それくらいで足取りが追えなくなるわけないだろ。いい加減その時代に逆らうの諦めたらどうだ?」「余計なお世話だ」と言って通話を切る
電話の主はアロガン まあ、俺のチームの一員でいっつもアジトに引きこもってPCいじってるわりに何故かムキムキなのかが永遠の謎な黒人の男でこうやって事件の事を伝えるのが仕事だ。今回は犯人の人数 武器等の特徴に情報がないのがあれだが
俺は喫茶を出て車に乗る。車の運転も全ての車が全自動化すれば渋滞もなくなり常時140キロ程度で走れるのだろうが自分で運転したい人間もいる以上は数百年前とほとんど変わらずに今日も俺は主導で車を80キロで走らせる。中途半端に車の速度を上げられるのよりもどこでもドアよろしくワープできるようになってるんないいんだがあれにはありえないほどのエネルギーが必要らしく不可能だという。
現場に着くと何人かの刑事と何台かのロボットがいた。
今時完全生身の刑事なんて効率が悪いったりゃありゃしないもんだが昔からの習慣とかいうやつはいつの時代になっても一定数残ってるものでこれが消える日はこないだろうなとひそかに思っている。
現場に着くと同時に女が走ってくる「犯人は5名武器の所持は今のところ銃以外確認されていません」と女が言う「機械化手術は値段が高すぎてまだ一般には普及してないつうのにこういう小規模のテロリストの奴が持ってるのはほんとに不思議だよな」と棒読みで言う。「十中八九資金の横流しによるものでしょう」と女が答える。
今時流行りの電子コンタクトを使わずに古風な眼鏡なんてものを使ってるこの女はジュリサラサラの金髪・白人の特有の肌・細身で小柄な体系・ここまではカワイイと言っていいのだが「何か?」とこの口調と鋭すぎるこのつり目のせいで台無しな女だ。俺のチームでは一番の新入りでここに入る前はエリートとして通っていたらしい、今は一時的に俺とバディを組んでいる。
「情報ありがとさん」と言って俺はアロガンに電話を掛ける「ほかのメンツは?」「お前が最後だもうみんな位置についてるよ お前は一番遅いのに、一番問題を起こしてるということだ ったく今度こそこっちが念入りに考えた計画を台無しにするのだけはやめてくれよ」
前回の仕事の時に一般人を優先したせいで計画がおじゃんになったことがあった、その時は運に恵まれていたのもあって事件は綺麗に収まったもののアロガンの言い分にはぐうの音も出ないので話題をずらす
「今回もあの新入りが?」「当然、お前さんにぴったりつくように言ってある」とアロガンが楽しそうに言う
「あいつじゃ役不足じゃ?」と意地で返すが「お前があんな馬鹿なことをしなけりゃいいだけだ。計画外の事をしてせっかくのエリート新人様の面子をでぶち壊してくれるなよ」と言ってアロガンは通話をきった
現場に戻るとジュリがまだなのかと言いたそうな顔で待っていた。
今日の計画は簡単だ建物の構造もわかってるし変態型でもない ついでに上空から撒布したLSCのおかげで一定時間だが中の人のもわかる。相手もそれを理解して建物内を移動してるようだがほとんど無意味だろう。
俺の仕事は潜入
機械化が進んで全身とは言わずとも体の一部を機械化している人が多いため潜入に向いていると思われがちだが金属探知機コイツのおかげで居場所が一発でバレるのが欠点だ、そこで生きるのが俺のような完全生身の人間たしかにいろいろ不便で効率は悪いが体に機会を入れるなんて真っ平ごめんだというタイプの人間が一定数いるのは事実で俺とかジュリがその中にいるわけだ金属類は持たず強化プラスチック製のナイフと拳銃を使っている。
さっそく建物の裏手に回りこむ携帯も使えないので変わりに金属の使われてない端末を使用して合図を送る。
建物はどこぞの聖堂らしいこういう所はつくりが簡単な分は入るのは楽で警備の位置も大体決まってるのがいいんだが逆に相手からしてもどこを警備してればいいってのが簡単に分かるのがつらいところだが…っと曲がり角の先の門の左右に警備が一人ずつ武器はサブマシンガンMP5Kに似てる。
「前方に二人確認他には?」アロガンが他のやつの居場所や目線を確認する「一人ゆっくるだがそちらに向かっている音を立てずに迅速に」「お前ちょっと声変わった?」「どうでもいいことを聞いてないで仕事に集中することだ」「はいはい」と適当に返事をして通話を閉じる。
ジュリに(右)と合図を送って 指で三つ数える 3.2.1.
同時に飛び出す
ドアの両脇の警備の男が反応を示す。が、遅い。警戒をしてるとはいえ金属探知機の警報が鳴ると思っている為どうしても反応が遅れる。それに立てこもりは体力と気力を大幅に消耗するもんだおまけに警備ときた。
サブマシンガンに手をかける前に腕が折られる。痛みによる呻き声を上げる前に喉を切る。あとは首をぐりっと、これでクリアだ
2人とも成功したのを確認してから先ほどのこちらに来るかもしれない警備の方に目を回すが居ない
「もう一人の警備は?」アロガンに確認を取る「奴は教会の祈りの間へ戻って行ったようだ」
「OKそこに全員いるんだな?」「ああ、そこで一掃しろ、人質は、出来れば殺さないように」「出来れば...な」
教会事態広くないのですぐに祈りの間に着く、よく映画の結婚式のシーンで見る椅子のいっぱいあるアレだいない人質ところか人っ子一人すらいやしない。
「おい!?どうなってんだアロガン!」と声を荒げる
すると聞き覚えの無い声が帰って来た「死ね」瞬時に状況を理解して左右に身体を飛ばし転がり込んだ。
ハメられた
あの声と雰囲気に違和感を覚えた時点で機械はハックされていてまんまと誘導されたってわけだ
それとほぼ同じタイミングで後ろからマシンガンの銃声が鳴り響くガガガガガガガガガガッ!横なぎにマシンガンが薙ぎ払われていく
「クソがっ!アロガンの野郎!」と口では言ってるものの地面に這いつくばってほんの少し上にマシンガンの弾丸が飛んでる状況ではサイボーグではまだしも生身では手も足も出ない
バカみてーな音に耳がバカになるかならないか位でマシンガンが止まった。
「かぁーーーーーーーーっこの瞬間が最高だぜぇ!くたばりやがったよ!」とマシンガンを打ったらしい声の高い白スーツの男が言う
「警戒は怠らないで下さい。」もう一人の男が言う。まぁ雇われ傭兵ってとこだろ
ザッ、ザッ、こちらに歩いてくる あと何歩で来るかはさっき一瞬見えたマシンガンの位置から推測できる。
ジュリの姿が確認できない今単独だろうと任務を果たすしかない
グッっと歯を噛み締めながら時間を数える 3.2.1.0ッ!
その瞬間飛び掛かると同時に一撃を入れてから喉笛をナイフで掻き切る
「うっうわあああああ!!!」と白スーツが声を上げるいきなり人が出てきたことに驚いたのだろう
間髪入れずに白スーツの喉笛も掻き切る。
その瞬間後ろから拳が飛んできた。
傭兵の一撃を受け止めきれずに空中に飛ぶ3mも体が吹っ飛んだ。体が空中で何回転もするが一瞬で体制を立て直す。訓練でこれぐらいなら対応できるようになっている
(やっべええええええええ!)と内心で思いながら表情は余裕を保ちながら言う
「おーおーサイボーグ様じゃねえかよその手術費用がバカにならねぇはずだが?お前らレベルの組織の資金で勘定するとどうも帳尻が合わねぇがまたあの組織からの金の横流しか?」
時間を稼ぐしかねえ、もしかしたらマシンガンの音に反応して外の奴らがくるかもしれねぇしジュリが生きてて意識が戻ればやれるかもしれねぇ
サイボーグ戦との第一鉄則は戦わない
もし戦わざるを得ない状況の場合不意打ちを推奨
正面衝突の場合は距離を取って逃げる機会を伺う事
正面衝突は必ず避けること
こいつが教科書に載ってる対サイボーグ用の教え 因みにこの教科書は結構役に立つしこいつに命を救われたことも何度かある
教科書様によると今の俺の状況はほぼ最悪しかも左腕が折れてるハンデ持ちだ
「お前たちに、いやお前に関係ないことであろう、ここで死にゆくものには」
おそらく奴の機械化部位は首から上と両腕この2点セットが戦うものにとって一番危険にさらす部位だ、しかもこの二箇所の場合ちょっと割安になるって聞いたことある気がするし
左腕を動かしてみるがピクリぐらいしか動かない 左ポケットの銃を取り出せればと思うが瞬間的に利き腕を庇ってしまったものは仕方ない
ナイフで近接以外の選択肢を考えてる内に「こちらが時間がないんでな」と傭兵が臨戦態勢に入る
「知ってるか?どんな物事にもk」言いかけた時傭兵が急激に距離を詰める。
思わず反射的に後ろにはねる、それと同時に右腕のナイフを投げ左ポケットの拳銃を抜く着地と同時に発射と思ったがナイフを左手で裁いた傭兵の右腕になぎ払われる。
それを間一髪で躱す既に傭兵の左拳はもう目の前にある。それをいなし腹に蹴りを入れる
それが0.1秒かそこらで考えられた俺の作戦だった、が腹に蹴りを入れたところで体制を崩したのは俺のほうだった。ご丁寧に腹に鉄板を仕込んでやがったんだ右足に痛みが響く次の攻撃を避けられるはずもなく右腕で首を掴まれる。
首を片手で絞められて持ち上げられる感覚はもう一生味わうことがないだろう。
「うっ….かっ!」声も段々と小さくなっていき体が段々中に浮く、足をバタつかせる力も弱くなっていく右腕で必死に腕を外そうとする力も弱くなっていく
みるみるうちにに酸素が体に回らなくなり体がぐったりし始める「……?!!」何かを訴えているようだがもう声すら出ていない。体中から力が抜ける。目がうつろになり
(あ、死ぬ)と思った瞬間に全身が動く痙攣してるわけでなく全身が「死」を拒む体中に力が入るぐったりしていた足に腕に力が入る。
全身で必死に生きようとする。右腕が傭兵の頬を貫く。
「何?」傭兵が動揺する。当たり前だ今さっき体中から力が抜けて手を放そうかと思っていたような男からの反撃を受けたのだ。
それでも、男の右腕ははがれない 機械化された腕は本人の意識がぶれようと外れない
最後の足掻きも虚しく終わる それを傭兵が見届けるのと同時に乾いた音が響く
銃声だ。誰が打ったのかって?いつまでも寝てやがった女だ、一撃目で逃げ足を防ぐ、続けて二発 三発と続けざまに撃つ。
俺が意識を完璧に失ったのはそれを見届けてからだった。
起きるといつもの病院、生身でこの仕事をしてると自然と病院とお友達になれちまう。横ではジュリが寝ていた。「ったく、看病しに来たんじゃねえのかよ」と愚痴る。寝顔はいいのにもったいない女だ、とつくづく思いながら 体を休めるため再び就寝する。消えない眠気に襲われながらひとつ気になることがあったことも忘れて眠る。
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