電話が響く部屋の中で。

百合烏賊

1CALL わたし

起きてみれば、青い空が広がる…はずだった。

私は目をこすり、どこにいるのかを確かめる。

「…どこだろう?」

名前は…三春、蓮葉三春はすのは みはる

よかった、覚えてる…。

「何もない…」

薄暗い部屋で、今にも泣きそうになる自分が嫌になってくる。

ほのかに光るランプを横目に壁に背をつけた。

自分の後ろには誰もいないという安心感。同時に部屋を見渡せるようになった不安。

同時にくる感情に少し戸惑いながら、私はあるものを見つけた。

「ケータイ?」

薄暗い部屋の中にポツンと置かれているケータイ、手に取るとすごく馴染みがあった。

「…誰のだろう?」

きっと自分のではない。だが、それに心を惹かれている気がするのだ。

それは安心感を与えてくれて、わたしはほのかに笑った

「中身みちゃお」

ぱかっと開けると、待ち受け画像が目に入る。

「鳥さん…?」

それはピンク色のくちばしに白い体を持った鳥だった。

可愛いと少し和んでいると、突然画面が変わる。

「!?いやっ!」

わたしはびっくりして、ケータイを手放した。

そのケータイはプルルルルルと鳴っている。

「だ、誰だろう?」

無視しようにも、この部屋を出るためにも出なくちゃいけない気がした。

「…もしもし、だ、誰ですか?」

「やっと繋がった…!た、助けて!!」

そこから響いた声は、同じくらいの少女の声だった。

「えっ…」







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