第43話:囲い者

 源内はナゾを紐解ひもとくように語った。


「今さら帰る家もね~。って事で、あのいわくのある川に身を投げようとしていた。青い顔で川を見ていたンだ。

 そこを長屋の連中が見かけ、やれ、幽霊だって、話しになっちまったって事かい」


「……」お里はうつ向いたまま頷いた。

 六平たちも合点がいったようだ。


「源内先生のおっしゃる通りです。

 子供の出来ない大店おおだなの囲いモノになったのですが、私にも子供が出来ず」


「わかったよ。お里さん、もうそれ以上、言う必要はないでしょう」

 六平は話しをさえぎった。




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