第41話:命の恩人

「こうして、私は、六平様に助けていただいたンです」

 お里は、全てを話し終えたようだ。

 重たい沈黙が支配した。


「う~む……」

 源内は腕を組んだ。


 お里は六平に、

「ですから六平様は私の命の恩人なんです」

 と言って頭を下げた。


「いや……、頭を上げて下さい」

 六は照れたように、首を振り、

「そんな恩人なんてだいそれたモンじゃありませんって言ってるんですがね」


「フ、なるほど…… ねぇ」

 源内は全てをさとったようだ。

「っで、女として生きる価値がないって言うのは……」


「え……?」一瞬、お里が凍りついた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る