ねむいけど美桜と本気?で闘います。
「ていうかルクルド先生が五皇聖魔の一人なんてびっくりだよ。ていうかなんで教師なんかやっているんだろう」
「それは俺も思ったから言ったんけど、どうやら政治とか魔物討伐に飽きたんだと」
「へぇー」
俺は睡眠を獲得するため先生を先ほど倒したのだが、まだみおが残っていたなんて想定外だ。っていうかなんで隠れてたんだ?よくわからんが今の俺には関係のないことだ。俺は早くこの模擬戦を終わらせ、寝るのだ。
俺たちは他愛もない雑談を終え、互いに数十メートル離れた後
「僕はね、この機会をずっと待っていたんだよ。悠太と本気で闘える機会をね?」
なぜここまで俺と闘いたがるのかはわからない。だけど美桜の目は俺の目を逸らさせてくれない、それほど美桜はどこまでも真剣なのが伝わってくる。
「正直悠太に勝てる可能性は限りなく低いと思う、だけどそんなことで諦めるわけにはいかない!僕は悠太に勝ちたい!!!」
地面が大きく揺れる。美桜の魔力が地面に当てられることで地響きをしているのだ。それほど大地は美桜の魔力に怯えているともいえるこの現象。
「さすが序列六位だな。確かにお前の勝ちたいという信念は立派だと思う。だがな、勝ちたいなら自分の魔力ぐらい自在に操れないと、俺に勝つなんて百年はやいぞ?」
(まぁあいつの耳にはもう届いていないと思うが、さてさてさーて、どうやったらこの闘いが終わり速く楽園という名の睡眠ができるのか)
「悠太?僕は勝ちに行くよ」
そう美桜が言うと、腰に帯刀していた剣を引き抜き、両手で
「【
そう美桜が唱えた瞬間地響きは収まり、刀の周りのオーラが薄く光り、刀に膨大な魔力が漂う。一見ただ立っているとしかみえないが、そこには踏み込む隙など
「ではいきます...」
美桜の目が大きく見開き、なまくら剣を美桜に向けた瞬間、美桜の姿を見失った。
「っ!?」
美桜が《明鏡止水》による無駄のない完璧な"体技"による瞬間全加速により、悠太に対して常人ではありえない速度で踏み込んだのだ。
「さすが序列六位様だな。っていうか明鏡止水ってなんだよ!?見たことねぇぞそんな技!!」
悠太は美桜の剣をなまくら剣で押し返し、ひとまず一定の距離をとる。
「そりゃあそうだよ、影で頑張って練習したんだから。不意打ちでもしないと悠太には勝てないからね!」
またもや一瞬で悠太の間合いに入り、一太刀また一太刀とまるで"順序が決まっているかのように"剣を振るう。
悠太も少し分が悪くなり、防戦一方となる。美桜はそれを好機というばかりに着実に
悠太は、美桜の踏み込みに一定の緩急を設け、左右に揺らす。その動きは美桜の眼球を誘惑し、残像を生み出すことで美桜の攻撃の軌道をずらし、隙ができた瞬間反撃しようとするが...
美桜はこれ以上はこちらが危うくなると感づき、悠太から数メートル離れる。
「流石悠太だね。まさかこれを初見で逃れられるなんてね。少し自信なくしちゃうな。っていうかなにあの残像?」
「それは企業秘密だが、やっぱりただ剣を振っているだけじゃなかったか」
「そうだよ。花月 残月 嵐月 彗星 銀月 青海波 流星、この七つの型を全て組み合わせることで、無駄のない完全なる連続攻撃をすることができるんだよ」
「へぇ〜、なかなか便利だな。俺にも教えてくれよ」
「これは剣術ではなくて
「あっ、じゃあいいわ。そんなことするなら寝たほうがマシだ」
「はははっ、悠太ならそう言うと思った。お話はここまでにして、【限界突破】!!!」
すると美桜の魔力が先ほどとは比にならないぐらい大きくなる。
「マジかよあいつ、死ぬ気か?」
そう悠太が言うのも無理はない。限界突破は第四剣術の一つ、しかしその域に達している者でも使用者は圧倒的に少ない。なぜなら限界突破の効果は魔力、筋力、全ての感覚を十倍にアップさせるだ。しかしその後に訪れる反動がとても大きく、そのデメリットこそが使用者を圧倒的に減らしていたのだ。
「はあぁああぁあぁあーーーーーっっ‼︎‼︎」
強く赤白いオーラを放っている鋼の如く輝く刀を悠太に向けて振るった。しかしその刃が悠太の身体に触れることはなかった。これを何事もなく平然と対処する悠太はまさに《神業》だろう。
悠太は美桜が刀を振るう瞬間、一瞬だけ身体の重心を左にずらし、刀の軌道を誘いながらなまくら剣の柄で美桜の刀を抑えたのだ。しかし、どれだけの技を成そうと桁違いな
「ちっ!」
「
「なに!?」
そしてそのふらつきが好機だと確信した美桜は二度目の限界突破を使用する。普通は二度目の限界突破は
「こうなったら俺も
爆発以上の
吹き飛ばされた美桜だが、冷静に先ほどのことを分析していた。
(おかしい、明らかに今の悠太の力ではなかった、なまくら剣でここまで吹っ飛ばせられる攻撃はできないはず。いや、一つだけそれを可能にすることができる。ということは)
「悠太、僕の攻撃を
「ご明察。やっぱりバレちゃうかぁ、さすがに自分でやろうとするとこの剣がもたないからな〜」
まだどこか余裕そうにしている悠太に美桜は少し苛立ちを覚える。しかしこんなところで一時的な感情に任せて戦うほど美桜は落ちぶれてはいない。ゆっくりと深呼吸をし、限界突破を最大限に活用しながら悠太に迫る。
「まっ、でもよくやったよ。だけどさすがにこれ以上は戦わない。いや、
「!?、なに言ってるの悠太?」
「これ以上戦えば美桜が死ぬ。美桜は俺の大切な
「えっ?」
すると次の瞬間悠太の周りの空間が歪むように屈折する。その光景はまるで世界が悠太の存在を
「【夢見が成す幻想 それは幻影を否定し真実と化す覇王 今宵我が我たらしめる力を与えたまえ】」
すると先ほどまでのなまくら剣が赤黒く光る。その輝きはけして純粋ではなかったが美しくもあった。そしてその輝きに見惚れることはなくとも自然と惹きつけられる不思議な魅力があった。
「ゆう...た?」
だんだん呼吸が荒くなり倒れ伏しながらも残りの力でなんとか顔を見上げる。そして限界突破の後遺症なのか、美桜の視界がだんだんぼやけていく。だがそれでもわかることがある、それは目の前にいる人物が
「これは禁忌ってやつだが、まあいっか。それよりお前をはやく眠らせてやるよ。俺より早く寝るのは癪だが状況も状況だ、許してやる。おやすみ....美桜...」
そして禍々しい輝くオーラを纏う剣が悠太によって振りかざされ、何故か痛みは感じず安心の心が痛みを上回った。そして美桜は悔しさとともに静かに意識を手放した。
「ゆう...た...」
☆
悠太が美桜を倒す直前一人の少女が人気のない路上で二人の戦いが映し出されている水晶を観ながら笑みを浮かべていた。
「大きな魔力を感知し見てみればまさか闘神殿とはのぅ。ふはは、これからが楽しみじゃ」
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