最強覚醒者の禁忌聖魔
松川よづく
プロローグ
闘神
約五年前、衝撃の事実に世界中に激震が走った。素性の知れぬ十歳の少年が人類最強である『賢者』サーベスト・ホロギヌスを
最初誰もが耳を疑った、有り得るはずがないと。子供が我ら人類の最強に勝つなんてことが。しかしその現実を受け止める他なかった、何故ならば今目の前で『賢者』サーベストが倒れ伏しているのだから。
サーベストの体は傷だらけになっていた。どの傷も重傷で、死んでいないことが奇跡と思わせるほど身体が酷く血で覆われていた。
「まさか...ここまでとは...しかも魔導、剣導、そして聖魔すらも....」
「お前に喋る余地など存在しない。さっさと死ね」
少年の表情に命を奪う恐怖などは微塵も感じとれなかった。その瞳は光が宿っておらず、どんな経験をすればここまでになるのか、サーベストは想像できなかった。
「そんな顔で俺を見るな。最後にこれだけは教えてやろう、最強というのは最も強いものではなく最も凶悪な者だということを」
その圧倒的な力と神の如くあまりにも次元の違う
『闘神』と崇めた.....
☆
「どんな世界であろうと結局俺は孤独なのか。どれだけ生きても、どれだけ強さの高みを目指そうと、俺はやはり孤独。アイリ.....お前に会いたいよ。お前さえいれば他はどうだっていい.....どうだっていいんだよ!!!!!」
その少年は地面に崩れるように膝をつき、両手を地面に伏せ嘆いていた。誰もいないその荒地に少年は泣き叫んでいた。どれだけたっても泣き止まない涙で地面が湿り小さな水たまりができていた。
その後、闘神は行方知らずとなった。全世界の人々が一丸となって彼を探したが見つけることは叶わなかった。
闘神が姿を消してから約五年後──
とある学校にその男はいた。手を後ろに回し、後頭部のところで手を組みながらめんどくさそうに教室までの廊下をテクテクと歩いていた。
「だりぃ、なんで授業という非効率的なものが二十も満たない子供にやらせるのかねぇ」
男は誰もいないことをいいことに愚痴を漏らす。だが言葉とは裏腹に歩く足を止めない。学園の授業に対しての不満は腐るほどあるが、休めば更にめんどくさくなるため嫌々行かなければならなかったのだ。半眼で溜息をこぼしながら歩くこと数分後、ついに教室のドアの前に着く。
「さてさてさーて、大事な大事な人生の一部を学園様に捧げますかねぇ」
男はだるさで重くなった右手をゆっくりと上げ、ガラガラガラとこれまたゆっくりとドアを開ける。
────この男は知らない、その踏み出しこそがこれから起こる波乱への第一歩になることを────
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