異世界から

古川モトイ

第1話 雨の自転車置き場に

 世の中には高校生だというだけで説教してくる人間がいる。「高校生は時間を有意義に使えない存在だ」とそのような話をしてくる。遊んでばかりだとも言われるが、実際は遊び方は良く分からない。ゲームぐらいしか思いつかない。同級生はカラオケに行くのだろうか?スマートホンでメッセージを送り合うのは「遊び」ではなく「連絡」ではないか?きっと遊ぶのが得意な人間と、そうではない人間に世の中別れているのだろう。たまに海外のクラブの映像とかをテレビでちらっとみるととんでもない世界観で、何をどうしたらあの世界の住人になれるのか(なりたいわけではない)想像もつかない。もしかして同級生の中にあんな人種が混じっているのだろうか。安物の折り畳み傘を開いたのは、駅の改札を出た後。風通しの悪い自転車置き場にはジメッとした空気が溜まっている。駅の反対側にはきれいな駐輪場が出来ているが、そちらを使う気は起きない。でも、長居はしたくないので手早く傘から雨ガッパにかえようと思ったら彼はそこにうずくまっていた。彼は血だまりの中で息も絶え絶えだった。

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