恋歌

風鈴水影

第1話

小学生の時にきいた。誰が歌っているかわからないけど、とても美しい歌。確かドラマの主題歌だったと思う。そのとき、俺は、その声に恋をした。


高校一年、春。

「もう、高校生かぁ。」

「早いもんだな。」

俺は、小学校の時からずっと同じクラスだった波月はづきと話していた。

「また、同じクラスだったら嫌だね。」

「そうかな。」

別にそれは、どうでもよかった。

小学校を卒業してから高校に入るまで、俺は、あの声をきくことはなかった。もちろん、声の主が誰かもわからない。けど、俺の中でその声は忘れられなくて、その声をずっと探していた。


「--ねぇ、聞いてる?」

「えっ、ああ、ごめん。考えごとしてた。」「クラス分け、出てたよ!また、同じクラス。…よろしくね。」

「よろしく。」

波月は、笑った。

「変わらないね。昔から。すぐ考え事して、私の話全然聞かないの。いつものことだけど。」

「そうみたいだね。」

そのあとも、ずっと考えて、たまに波月と話して1日が終わった。


翌日。

「おはよう!」

「おはよう。元気だな。」

「そうかな?」

「はい、HR始めます。みんな席について!」

担任が入ってきた。

「みんな初めてだと思うから、自己紹介から始めます。じゃあ、廊下側から。池田くん。」

新学期恒例の自己紹介が始まる。俺はこういうの得意じゃない。どうしようか、考えていると、右斜め前の席の波月が自己紹介を始めていた。

「--青海波月おうみはづきです。特技はバドミントンで、バドミントン部に入ろうと思ってます。よろしくお願いします!」

流石、波月は、ちゃんとしてる。そして、俺の隣の席。

「小笠原結衣です。…。」

あまりに簡単な自己紹介で終わった。クールな子だというイメージ。隣の席がこんな子で大丈夫なのか、少し不安になった。


そのあと、無事、俺も自己紹介を終えて、いろいろな役割を決めて、HRが、終わった。

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