第32話

さらに屋敷内は、険悪な状況になった。

清秀は、立ち上がって

「それならば、この清雅とか申すモノだって、どこの馬の骨か、わからないじゃないですか。」アゴで指した。

「・・・・」清雅は、顔をしかめた。

「そうですよ・・・」妻、律。「証拠は・・・」

「え・・」とオレ。

「父上の子だという証拠はあるのですか。」清秀。

うう・・・

「確たる証拠もなしに、清秀を差し置いて、本家の跡取りなど承服しかねます。」

「フン、」お蝶をアゴで指し視線で指示をした。

「はい、羽子板が・・・」羽子板を差し出した。

「それは・・・」清雅。

「うむ・・・これは、」当主、「これは、ワシがお雅に持たせたモノ。平家の紋章が描かれた羽子板だ。」

「へ~、あんな羽子板が、ね~?」

「しかし・・・」律は納得がいかない。「羽子板を持っていたからと言って、御前から手渡されたモノとは・・・・」

「そうです。」清秀。「羽子板は、どこぞから盗んで手に入れたのかもしれません。」

「うむ・・・お蝶、他には・・・」

「はい、蝶の紋章が・・・」

「な・・・」律らは驚愕。

「うむ・・」清国は目で指示を出し、「見せて貰おうか。」

「はい、失礼。」と言って、徐(おもむ)ろに立ち上がり、オレの着物を脱がそうとした。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る