第24話:山間の村

だが、この時はまだ、その埋蔵金を巡って血で血を洗うイサカいが起きるとは思いもしなかった。


谷を降りて行くと里の住人に会った。

どこか、浮世離れしていた。その時、大きな蝶が舞ってきた。

「うっほ~、見ろよ。デッケー蝶だぜ。」山師。

「ああ・・」と明日真が応えた。

見た事もない大きな蝶が舞っていた。

谷には、小さな棚田があるだけなのに、かなり裕福な暮らしをしているようだ。お篠が里の人々を見て

「かなりお金持ちなんですね・・・里の人たち・・・」

「ええ・・」お蝶が、答えにくそうに言った。

「へっへ、こりゃぁ、苦労して来たかいがあったねぇー」山師。

「やっぱ、隠し財宝があるって話も満更ウソじゃなさそうだ。」源内。

「フ、源内先生も踊らされる口か。」明日真。

「いやいや、何か、わからんが、金脈でもあるのかもしれんぞ。」

「獲(と)らぬ、何とかにならなきゃ、いいですがね。」明日真。

「そ~ですよ。先生。」篠。

「い~だろ。少しくらい夢を持ったって・・・」山師。

「・・・・」お蝶は眉をひそめた。

オレの顔色も冴えない。

行く先々で、あれが・・・清雅様・・・お~、あれが本家の・・・

と、まさに噂の的だ。

子供たちが寄ってきて、

「清雅様ですか。」と聞かれた時は、何と返答すべきか迷った。

だが、無下に否定するワケにもいかず、

「ああ・・そうだけど・・・」と適当に応えた。

やっぱり~と言って、おっ母らしき人の元へ駆けて戻っていった。


本家の末裔が戻ったとの噂は、一気に里じゅうに報(しれ)わたる事となった。











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