悪魔も生き物、ですよ?Ⅱ


そうか、僕はこうして

泣きわめきながら生まれたのか…


僕は裕福な家庭生まれの優しいお母様と軍人のエースの父親の間に生まれた“ごく普通”の子供だった。変わってることといえば瞳の色が左右で違うという事

お母様の家系はみんな左右で瞳の色が違うらしい。

僕の左眼は父親の碧を貰い右眼はお母様の茶を貰っていた。


お母様はとても僕を大事に育ててくれた

父は僕に強くなれることを教えてくれた


僕はあの時、確かに幸せというものを感じてたーーある日を境にそれも崩れさる


僕が1歳になる頃、戦場で父親が負傷したという報告をうけお母様と病院へ向かう

お母様の不安が抱かれてる僕にも伝わってきてたのは今でも覚えている


病室でみた父親の姿は左の腕は肘から先が無くなり

両足は膝から下がなく綺麗な碧の瞳は片目が潰され消え失せてた


小さな僕はそれが最初に父親だと分からなかったが

お母様は僕を抱えたままその人に泣き縋りその人もまた僕とお母様を残った片腕で力強く何処か悲しく包んでくれた時に父親だと分かった。


数ヶ月後父親は帰ってきた

帰って来たのは身体だけで中身はあの時既にに死んでいたのかもしれない


人が変わったのだ

手足を失ったことにより誇りに思っていた軍人である自分もあの時失った。

軍人でない俺はただの肉塊だなどと

口癖の様にアルコールの臭いがする口から毎日吐かれる。


アルコールに溺れ人格すら変わり

みんなの信頼も無くし地位もなくし…そして父親としても底辺へ落ちていった


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