第134話 第六感を持たない生き方

☆近所に売れない純文学者がいます

 葉山弥世さんという、売れない純文学者がいましてね。

 このひとの作品は、甘さはありますが、

 洞察力がはんぱない。

 たとえばこんなの。


 『花笑み』より、

 フランスで タピストリーを見ている

 登場人物たちの感想。

(引用開始)

  ―――味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚。

 そういえばお菓子を差し出している侍女、

 オルガンを弾いている侍女、貴婦人が持つ鏡に映る自分を見ている一角獣、

 侍女が持つお盆の花々で冠をつくる貴婦人、一角獣の角に触る貴婦人、

 それらが五感を象徴しているという。

 その気で見ると、なるほどと符号して、納得がいく。 

 五枚のタピストリーと向き合っている背後の一枚は、

 つまり六枚目は、貴婦人を天蓋の下に立たせ、

 動植物も勢ぞろいして、何か特別な意味を持たせていることがわかる。

 (中略)この絵の貴婦人はネックレスを外し、宝石箱を侍女に渡している。

 五枚の絵柄で五感による喜びを表し、最後の一枚で、

 五感によって引き起こされる過剰な欲望や欲求の危険性を戒めているらしい。

 侍女に宝石箱を返す場面が、それを証明している。

 この第六感とも言うべき感性を持たない生き方は、

 破滅への道を歩むのだ、と作者は言いたいのだろう。

(引用終わり)


☆これまでわたしは五感がすべてと思ってたけど

 第六感、という見えない感覚も大切に、と叱られた気がしました。

 そして、人間の感覚を分解するのではなく、

 ひとつのものとして把握することも必要だ、と

 六枚目のタピストリーで学んだ気がします。

 有名でなくても、いい作品ってあるね。

 小学館からでてる、私小説風ライノベも、読んでみるかな。

 ……乱読ばっかしてるけど、たまには系統立ててよんだほうがいいかもなー。

 ま、無理ぽだけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る