第1話 #17「やっぱり彼女は笑顔が1番!」

 そして彼女が起き上がった時あまりの嬉しさに抱きつきそうになったがその気持ちを抑えそんな素振りを見せず、有紗の所に寄っていった。


 「大丈夫か?」


 俺は有紗に心配の声をかける。


 「ここは、どこ?」


 俺の心配を他所に有紗は質問を投げかける。


 「ここは俺ん家だ。それよりも体の方は大丈夫なのか?」


 「そう。体の方は大丈夫…っづ!!」


 やはりまだ体の方は痛む様だ。かなり無理をしてるのは見ていて分かる。


 「あんまり無理するなよ。ったく」


 でも本当に良かった。正直あの瀕死状態からよく回復したなぁと思ってしまった。梓の手当するのが上手かったのかなあ?


 「…アンタ、何ジロジロ見てんの?」


 「えっ??」


 ヤッベェ、変な裏声が出てしまった。いつものコミュ症がここにきて再発してきた。


 「…フフッ」


 すると突然有紗はクスクス笑いだした。


 「わ、笑うなよ!」


 少し恥ずかしかったがでも彼女が笑ってくれたなら悪くはないからいいか。彼女の笑顔が見れてホッとした。


 ---少しの間、和やかな雰囲気に包まれた。それからしてあの時の状況を細かく話てくれた。


 学校が終わってから有紗は急いで創次郎さんの知り合いを探し回って行った。奥田達の情報網は侮れない為急がないとその人の事まで知られてしまっているかも知れないと思い先に見つけようとしていた時だった。


 ストンッ


 聞こえるか聞こえないかぐらいの音が有紗の耳に聞こえた。すると同時に腹部に激痛が走った。


 「っ!!」


 有紗はお腹を押さえその場でうずくまってしまう。うずくまった時に自分のお腹を見ると制服が赤く染まっていた。


 「ハア…ハア…」


 息を切らしながらさっきお腹にあてた右手を見てみる。彼女の右手も真っ赤に染まっていた。


 もう分かっていると思うがそれは彼女の血だった。脇腹の方を中心に出血している。どうやら誰かに撃たれた様だ。


 「うっ…ハア…ハア…」


 有紗は痛みを必死に堪えながら立ち上がった。そして周りを見てみるが周りには誰もいない。とりあえず誰にも見られない様に中道に入って行った。


 一体誰に撃たれたのか? どこから撃たれたのか? 全く分からなかった。だが、分かった事も少しはあった。


 周りに誰もいない事から相手はスナイパーライフルで遠くから狙っていた。しかもサプレッサーで音を消している。多分奥田の仲間だろう。奥田自身なら直接狙いに来るはずだ。


 あれこれ考えてたら意識を失ってしまった。そして現在に至る訳だ。

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