響と奏

鈴井ロキ

缶コーヒー

とある日の夜。響と奏は響の家のリビングで各々好きなことをしていた。


響はテレビでバラエティ番組を見て、奏はスマホでツイッターを見ている。


そんな感じでまったりとした時間が流れる中、ふと奏の視線がスマホからテーブルの上にある缶コーヒーへと移る。


「ねぇねぇ」


「んっ?」


「ちょっとそれ飲まして」


響は奏が何を言ってるのか一瞬分からなかったが、すぐに缶コーヒーのことだと理解した。


「別にいいけど、これブラックだぞ?」


「だから飲んでみたいの」


響は缶コーヒーを手に取り、奏に渡す。


手渡された奏はそのままグビッと飲み、


「にっがーー!!」


飲んだ感想を勢いよくぶちまけた。


「だから言ったろ」


「うぅ〜。ケーキ〜プリン〜いちごオレ〜」


缶コーヒーを返すと、甘い物を呪文のように発しながら奏は台所へと向かっていった。


視線で見送ると、響は返された缶コーヒーに視線を移して一口。


「……なぁ。たしかプリン二つあったろ?」


「ヤダ!全部私の!」


「ジャイアンかお前は!それ買ってきたの俺だからな!」


その後、プリン争奪戦が起こったが、極めて平和的な解決で争いは終わるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る