ニイ 告げ泡

 金魚が、ぐっ、と息を詰まらせた。


 背骨が何度かしなり、その度に鰓がひねられてぎちぎちと悲鳴を上げる。

 内臓と骨とともに、じりあげられてぎしぎしと、いう。

 それでも金魚は何故か止めない。


 そして、金魚がやっと動きを止めたころ、毒入りの少しぬめった水で作られたあぶくが、ようやく口から吐き出されてくる。


 曲面に、金魚鉢の外と人の目を映して。






 直後、最後の苦しみでもがいた金魚の吐いた息が、その泡を押し潰した。

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