イチ 鏡面ココア



「ココアって練らなくても美味しいよね」


 ココアの淹れ方を教わる親のいたことのない男の子が、初めて自力で作ったダマだらけのココアの記憶を持たない女の子を羨ましげに見る。



「僕は練った方が好きだな」


 ココアを練ることを教わる親のいたことのない女の子が、手慣れたやさしい手つきでスプーンを繰る男の子を羨ましそうに見る。



 濃くココアを溶かしきった男の子が、底に粉の溶け残っている女の子のカップへスプーンを移す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る