第24話 10/12,13,14,15
「人を生かす医療、人を殺す医療。何やそれ。この国を動かすのは政治家、そして一部の政権与党。そのやり方に反するものは医療という名の毒で排除するんか?ワレェ。医者なんてな権力なんてどうでも良いんや。ただ患者の笑顔を見られるように、どんな患者でも一生懸命治療を施す。それだけやないか!俺はもう出て行く。医師免許剥奪でも何でも好きにしとったらええ。」
西龍大学付属病院という大病院の執刀医であった黄金丸龍治は、とある政治家の手術の前に、院長と国のナンバースリーである豊沼官房長官が話しているのを聞いてしまったのである。
「滝原院長、上手いこと護憲の党の岩松の事を殺したって下さい。報酬はせやなぁ。一万銀を重ねて自由の女神像と同じくらいまで高くしますわ。どうでっか?」
「その話お受けするしかありまへんな。うちら西龍会の名を上げるチャンスや!どぎつい死をお約束いたしますわ。」
「ほな、宜しく頼むで。」
という言葉を聞いてしまった龍治は、自ら腐った病院を離れた。「院長。おどれの白衣はそこまで黒インクに弱いんか?俺の白衣はどんな黒でも染まらんわ。無欲というコーティングがしてあるからな!」龍治は院長の席を思い切り蹴飛ばすと走って病院を去った。
「好き勝手言いやがって。追え!黄金丸をぶっ殺せ!あの岩松って男は明日にでも血祭りに上げろ。今日は手術が多いからな。」
「承知しました!院長。」
すぐに直属の部下に追わせたが、商店街に逃げ込んだところで見失ってしまった。
「はぁはぁ。患者には運動しろ運動しろ言っているが、こんなに走ったのは久し振りだぜ。確かこの蕎麦屋の地下に秘密のアジトがあるんだよな。とにかく今は危険だ。身を隠そう。」龍治はそう思って、蕎麦屋に逃げ込んだ。
「おや、黄金丸さん。いらっしゃいませ。」
「きのこ入り卵とじ蕎麦を頼む。そして、例の地下帝国にお邪魔させて頂くよ。今追われているんや。病院を退職してきてな。」
「蕎麦はどうすれば良い?」
「地下の関所前に居るから届けてくれや。」
「分かったで。」
「卵とじ蕎麦、お待ち。」
「有難う。確か、この先の発明家はまだ居るか?」
「ええ勿論。今でも防具の製作に取り組んでおりますわ。」
「そうか。有難うな。」
「いえいえ。食べ終わったらそこに置いてください。危ないと思うので。」
「助かるわ。」
ここのきのこ入り卵とじ蕎麦はとても美味しい。ラーメンにも使えそうな濃厚な鶏の出汁の効いた醤油スープに二八蕎麦が入って居るのだ。温かい蕎麦なのに蕎麦湯が付いており、最後に割って飲むのがこの店である。そしてそば湯を飲んだ後に、サツマイモと豆乳で出来たプリンを頂いた。優しい甘さで和の店を感じた。
「ふぅ。食ったなぁ。よし、行くか。例の発明家の元に。」
関所は抜けることが出来た。蕎麦屋の店主のお陰でもある。
迷路のような地下道を歩いていると山本発明社という文字が見えた。
「ここだな。俺の知り合いが運営しているという店は。」暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませ。ん?お前は黄金丸か?」
「久し振りやな。徹矢。」
「せやなぁ。お前は医者になったんやろ。それが何でこんな地下にいるんや?」
「今、地上では俺を探し回っとる奴が追ってのぉ。そいつから逃げとるんや。実は、地上では一流の院長が政府に買収されて、反対勢力、野党の人達を入院させ誤った治療で殲滅しようとしておる。」
「それを止めるんやな。龍治は。元々お前は権力なんて意味がねぇ。目の前のやるべき事をやるだけだって男だったもんな。奴らは銃とかで撃ってくるだろうし鉄の鎧が必要だな。ちょっと待ってな。」徹矢はショーケースごと持ってきた。
「こいつは新幹線の点検車両をモチーフにしたパワードスーツ、通称ドクターイエローだ。鉛の砲弾を喰らったとしてもビクともしない。だが医者しか使えないようになっておる。まずはカルテを作ろう。」
「済まないな。助けてもらって。しばらくこの辺りで過ごさせてもらっていいか?ここに引っ越すことにする。」「何言うとんのや。俺たちは兄弟みたいなもんやないか。困った時は助け合いや。」
「そうだったな。早速カルテを作ってくれ。」
「はいよ。これに手をかざしてくれ。それだけでいい。遺伝情報を記録。これでお前のものだ。」
《生体情報を認証しました。》
「これは黄色い白衣や。白衣とは言えんがな。これを着ていれば変身できる。このPHSで119と押して閉じるボタンを押せばドクターイエローに変身できる。後はこの人形達を上手く使え。きっと導いてくれるぞ。あとこの時計を使えば、好きな年代に行く扉が開ける。こんなところか。行くんだろ?龍治。」
「あぁ。やってくるぜ。」
今までとは違う力を持った龍治は急いで病院に向かった。
「貴様!覚悟しろ!」医者が拳を向けてきた。「通用せんわ。」180cmの高身長を生かしたキックで倒す。
「岩松の部屋は5階やったな。待ってろ岩松。麻酔にかかってなきゃいいがな。」
「許さへんぞ!黄金丸。生かして返すわけには行かんのや!国の秘密を知ったものをな。死ねや!」五人のドクターがドスを握って震えていた。
「そんな危ないもの持ちやがって。こっちにも考えがあるわ。」時計を見て、時の流れを止めた。
「じゃあな。医者どもよ。」時間を動かして、五階の岩松の部屋に行った。
「おい!岩松。大丈夫か?」
「一体何なんですか。俺は何処も悪いところがないのに。勝手に政府の人に連れてこられて。」
「後で話す。取り敢えず、今追われているから。逃げるぞ。」
「分かりました。」
「屋上に行こう。7階のテラスに。エレベーターが良いな。」
二人は誰も乗っていなかったエレベーターで7階に。
エレベーターに乗ると。
「よう!散々なこと言いやがって。あんたが来るのはお見通しだった!バカと煙は高いところに登るからな!二人揃って死んでもらうわ。」院長を筆頭に刃物を持った50人の医者が一堂に会していた。
「政府の犬めが!ぶっ倒してやるわ!行くぜ!」
《one one nine,》
「この男を殺そうとした理由を説明してもらうぜ!」
《trans inform concent,Dr.yellow battle start!》
黄色を基調としたその動きやすく強度のある鎧はあっという間に院長を残して殴り飛ばした。
「助けてくれ!俺はこんなことするつもりは無かったんや!」
「名を上げるチャンスやと喜んでいたやないか!ボケがぁ。」胸倉を掴み思い切り地面に叩きつけた。
「例え、政府の思惑から外れ医師免許を剥奪される一歩手前でも最低限、医者としてのルールは守らないかん。今日のところは帰るとしよか。」
「あの、救っていただいてありがとうございました。」
「お前も来い。狙われておるからな。」二人は地下に消えていった。
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